#20 FC町田ゼルビア 楠瀬直木 強化・育成統括本部長 インタビュー Vol.2
楠瀬直木 強化・育成統括本部長 兼 強化部長 ロングインタビュー Vol.2
強化・育成統括本部長 兼 強化部長に就任した楠瀬直木氏は、FC町田ゼルビアがこれから飛躍していく上で欠かせない人物となる。育成年代で確かな手腕を発揮し、2010年と2011年には東京ヴェルディユースを日本クラブユース選手権で連覇に導いた。2012年はFC町田ゼルビアのアカデミーダイレクター(育成担当)を務め、今シーズンから現職に就いている。
前回 Vol.1 に続き、今回は育成現場の現状についてスペシャリストならではの意見を、2014年から始まるJ3について率直な思いを語っている。また将来クラブをどのように成長させていくのか、ピッチ内外のマネジメントを託される楠瀬氏の描くビジョンを伺っている。(インタビュー日:2013年5月)
-ゼルビアとヴェルディの育成組織を比べて、「東京Vが上」という見方をされるかと思いますがいかがですか。
楠瀬 まず上か下という基準ですが「試合に勝てば上なのか?」となりますよね。でも、勝負って色々ありますから。目的が何かにもよりますけど、『トップチームに何人の良い人材を輩出していけるか』という部分では、肩を並べるのはそう遠くないと思っています。ジュニアユースは、変わらないとまでは言わないけど、似たり寄ったりの所はあります。他クラブだとU-14で日本代表を出さなきゃいけないという所もあるかもしれません。でも僕はゼルビアで、U-14辺りの日本代表を出す事を至上命題出にはしていません。もちろんU-14で選ばれたら選手達を褒めたいですが、それが全てではありません。そういう意味で言うならば、U-18やU-19の選手、オリンピック世代の代表選手をどのくらい輩出していくかは、目標にしていきたいですね。
-そうなっていくために必要な事は何ですか?
楠瀬 やっぱり環境整備ですよね。そこは今、試行錯誤している部分ですが、まず施設・グラウンドの問題があります。今の中学2年~3年生の子供を育てるには、しっかり勉強をしてもらって、食事も成長の促進につながるものを摂るよう指導しないといけない。今朝もミーティングでも『ジュニアユースの子達に練習後の食事をどう摂らせるか』という議論をしたんです。
-まずはそこからですか。
楠瀬 東京Vユース監督時代は、クラブハウス(食堂)があったので、そこで食べさせる事も出来ました。しかしゼルビアにはその施設がありませんし、そういった細部の環境整備からやっていかないといけません。勉強の部分では学校との連携もそうですよね。他クラブのように寮を作って、みんな集めて、勉強させる事が出来ればいいですが、それは今は難しい。あと、このクラブの成り立ちを考えた時に、先ほど(※Vol.1で)お話をした『サッカーは誰のものか?』という部分で、来ているお客さんや家族という距離感で考えると、別に育成組織にたくさん人数がいても良いんじゃないかなと思っているんですよ。