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#19 FC町田ゼルビア 楠瀬直木 強化・育成統括本部長 インタビュー Vol.1

楠瀬直木 強化・育成統括本部長 兼 強化部長 ロングインタビュー Vol.1


町田市は少年サッカーの街として栄え、数多くのJリーガーを輩出してきた。その街に誕生したプロサッカークラブのFC町田ゼルビア。2012年、初めてJリーグを戦ったが残念ながら結果を出せず、J2からJFLに降格という史上初のクラブとなった。J2帰還を目指し、JFLからの再起を誓う秋田豊監督と選手達は、連日ハードなトレーニングを重ね、シーズン序盤から勝点を積み上げている。

このままリーグ上位をキープし、シーズン終盤の結果に期待が膨らむところだが、今シーズンはクラブが更に発展してく為のベースの年とも位置付けられている。そこに欠かせない人物が、楠瀬直木 強化・育成統括本部長兼強化部長であろう。育成年代で確かな手腕を発揮してきた氏は、2012年にアカデミーダイレクターに就任し、今シーズンから現職に就いた。仕事の領域は幅広く、トップチームだけでなくアカデミー組織もサポートし、クラブマネージメントにおいても重要な役割を担っている。
トップチームを強くする事はもちろん大切だが、楠瀬氏が目指すのは「勝敗=結果に左右されない、多くの人に愛され続けるクラブ」と語る。東京偉蹴FOOTBALL編集部では、ゼルビアの現在と未来、育成のスペシャリストならではの思い、などを伺っている。(インタビュー日:2013年5月)

-本日はよろしくお願い致します。まずは今季のJFLについてですが、11節を終えて(※)7勝2敗2分とリーグ2位につけていますが、改めて今のチーム状況はいかがですか? (※5/12FC琉球戦後にインタビュー)

楠瀬 もちろんJ2を目指しているので、当然リーグ上位にいないといけません。現状で2位というのは、悪くないと思っています。現場は秋田監督を中心によく頑張ってくれています。今年の絶対的な目標である『J2に戻る』というところでは、最初は多少の不安もありましたが、今の結果にはかなり手応えを感じていますね。

-手応えを感じるのはどの部分にでしょうか?

楠瀬 それは秋田監督の手腕です。緻密な人が指揮すれば緻密になるし、中途半端な人がやれば中途半端なチームになるという風に、サッカーというものは指導者の取り組み方が着実に映るんでね。そういう点で秋田監督の色が出てきているけど、理想とするサッカーが浸透するまで試行錯誤したところはある思います。でも、今は秋田監督の負けず嫌いな所とか執念めいたもの、勝つ為にはどうしたらいいのかという、細部に渡る勝負へのこだわりとか、かなり浸透してきている。この前のFC琉球戦みたいに、パワープレーやセットプレーになったら『入るんじゃないか』と皆に思わせる勝負強さとか。そういう姿勢と気持ちで、勝ちを拾ったり失点ゼロで抑えたりしているので、これで結構行けるかなという手応えはあります。当然、楽観視はしないですけどね。

-最初は不安があったというのは、もう少し早く浸透して欲しかったという事ですか?

楠瀬 秋田監督がやろうとしているサッカーの『理想と現実』というのもありますし、去年ここにいた選手からしたらアプローチの仕方が全然違うし、他のチームから来た選手も環境が変わっている。肉体的にもかなり追い込んでいるので、それがなかなか浸透しない、表現出来ない、体がついて来ないというのが、序盤戦の戦いでした。選手もこれで良いのかと迷っている部分もあるし、まだ理解していない子もいたりする。そういう点ではここまで、ちょっと時間がかかっちゃったかなと思います。

-確かに開幕前後は不安定な状態でしたね。

楠瀬 ただ6連勝したゴールデンウィーク期間の試合を見ると、これで良いんじゃないかなという確信みたいなものは見えています。秋田監督も本当に細かいし、勉強家だし、負けず嫌いで執念深いし、妥協しない。大したもんですよ。練習の量にしても濃さにしても、『こういう事をしていれば強くなる』という感じはあります。

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