TOP>>インタビュー>>korea-interview>> #29 FC KOREA 李清敬 総監督 インタビュー Vol.2

#29 FC KOREA 李清敬 総監督 インタビュー Vol.2

-どんどん選択肢が限られていく中で選手を集めてきたと。特にこの3~4年間は環境面も整えながら強化してきました。並大抵の努力ではないと思います。関東リーグの他チームや、他の地域リーグのチームの強化の仕方を見ても、もっと選択肢が広くて色々なやり方が出来ますから。

 他チームだったら何でも出来ますよね。ウチは朝鮮大学校の学生や、日本の高校・大学に行っている在日コリアンの子ですね。あとは韓国からの留学生になりますね。

-中学・高校生年代の育成をじっくりやっていないと、20歳から急激に強くなるチームも無いですよね。

 日本に住んでいて日本に帰化した場合を除いてですが、彼らは日本にいるコリアン系ジャパニーズなんですけど、いずれジャパン系ジャパニーズになるような、結局だんだん(民族は)同化していくじゃないですか。

-いずれはそうですよね。現在、在日の方は何世までいるのですか?

 今は5世までいると思います。今のFC KOREAの20代の選手が4世ですよね。そこ(在日コリアン社会)でサッカーが大きな役割をするし「自分はやはりコリアンなんだな」というのはありますよね。そうじゃないと、だんだん(同胞の意識は)薄れていく、「僕らは日本に生まれ育ったんだ」と。コリアン・ジャパニーズと言われたらそうですけどね。国籍が韓国だ、朝鮮だという事とはまた違いますが、いずれはそういうのが主流になっていくか、今は何とも言えません。でも、チームのコンセプトとしては「コリアン・ジャパニーズでもOK」なんですよ。コリアン系だからね。国籍じゃない、民族なんだと。そうなった場合は、(加入選手の)対象は実は多いんですよ。ハードルを低くじゃないですけど、片親が日本人で片親がコリアンだったら「FC KOREAにおいでよ」と。

在日コリアンという民族意識を選手がどこまで持てるか

-いわゆるハーフやクォーターという事ですよね。

 まだ何とも言えませんが、クォーターくらいまでは本人がそういう(コリアンだという)自覚を持って、自分のルーツをリスペクトしている場合はアリだと思っているんです。(血筋が)減っていく部分というのは見え隠れしますけど、そこはこれからも考えないといけないのかなと思います。例えば、ただコリアン系クォーターだからと「ウチのセレクションにおいで」と言ったって絶対に来ないじゃないですか。そういうのはナンセンスですし、我々としては在日コリアンのチームが日本で市民権を得れるよう、恩返し出来るようになれればと、チーム作りをしていますね。

実は、日本サッカー協会の田嶋幸三副会長とは20代の時からお付き合いがあるんですが、彼が言ってくれたのは「いつでも(JFLに)上がって来い」と。要は「日本人チームと在日コリアンチームで勝負しよう」と。日本国内でもそうですけど、「隣国として朝鮮・韓国とお互いに切磋琢磨して、東アジアやアジア全体が強くならないと、世界には勝てないですよ」とよく言われるんですね。在日コリアンに対して凄く期待してくれている。日本サッカーのレベルアップの為には、考え方によっては在日コリアンチームはコリアンサッカーというか民族性が出てくるじゃないですか。例えば、ブラジルのチームもブラジルの色が出てきますよね。日本にいながら世界のサッカーを堪能出来るじゃないけど、日本の人達も見られますよね。国際大会をやらなくても、そういう事が経験出来ると。それが日本の中で“当たり前になる日”が来ても、おかしくないんじゃないかなと思うんですよ。

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