#26 エリースFC東京 小宮敏裕 理事長 インタビュー Vol.1
-気づいた時にはもう遅い、と。
小宮 遅いんだけど、じゃあどうするかとなった時にプレーが変わるんです。頭の良い選手は味方を使うとか、上手く周りとコミュニケーションを取りながら出来る。1年目は単独で縦横無尽にやっていたのが、衰えてくると周りとコミュニケーションを取るようになる。これが成長なんですよね。27、8歳になるとみんな成長しますよ。
自分だけじゃ勝てなくなるから。昔はこんなだから(鼻の先に手をやって天狗のポーズ) 大学を出てしばらく経つと足も遅くなるし、キックも弱くなる。バリバリでやっていた現役の時との差は大きいですよね。鼻が高くなっていたのがだんだん変わってきます。練習を週に数回しかやっていないから、毎日やっていた大学時代とは違います。
しかも就職していて、お酒の席があったり彼女との付き合いとか色々な事があるから絶対落ちますよ。どんなに上手い人でもそういう風になる。ですから我々の様なクラブチームは常に活性化させないと、高い関東リーグのレベルから脱落してしまいます。各大学の試合を見てスカウティングしたりして、少しでも可能性のある選手を探っています。一昨年、ある大学の4年生8選手と面接した時に、8人とも就職していなかった。なぜかというと彼らの言い分は「全員がJを目指しているから」なんですね。
-最終学年までサッカーをやり切ろうと思っているんですね。
小宮 でも、3年生でJから声がかかっていないのに、行けるわけがないですよ。もちろん4年で声がかかる人もいるかもしれないけど、だいたい1、2年生で声がかかりますね。試合でアピールしないといけないから、就職活動が出来ない。親も「Jリーグに行くのか、凄いね」と。大学側も「就職活動をしろ」とは言わない。本人は「Jに行きます、行けなかったら就職します。その時よろしくお願いします」と。
他のある大学も同じタイミングで5人面接したんですが、5人とも就職が決まっていました。その違いは何かというと、彼らは朝6時から練習をしている。それは監督さんの意向なんですけど、朝練をして、その後に大学で勉強するか就職活動をする。それをずっと続けている。朝6時から練習するという事は、4時くらいには起きないといけない。だから前の日は夜10時頃には寝なきゃいけないですよね。だから遊ばないし遊べない。そのサイクルがとても良い。
そういう大学はいくつかありますが、近年は平均的に強いです。やはり、ケジメをつけて若い選手達が朝練をやる事によって、きちんと就職活動もするし勉強もする。午後2時、3時になってダラダラ始まるような所は、良くないですよ。前の日にいくら遊んでも、練習に間に合うような時間帯を設定していたら、それはダメだなと。
-就職に関しては、サッカー部のOBがいる企業に引っ張られたりというのもありますか?
小宮 そういう部分では慶應大学ですよね。慶應が凄いのは、OBがどの企業にもいるわけですよ。しかも一流の企業。サッカー部に入って、そこそこであれば就職の時に引っ張ってもらえる。良いOBがいるから、そういう所はしっかりしていますね。そこは慶應大学の素晴らしさだと思います。