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#163 10/20 JFL 第29節 AC長野パルセイロ vs FC町田ゼルビア

長野を成長させる卓越したマネジメント能力

それにしても美濃部直彦という人は、ただ者ではないと感じてしまう。試合後の談話の中でも「勝っても負けても、常に反省を怠らず、より良い方向性を探っている」「雨の日ならではの戦い方を選手にしっかり刷り込ませた」と話してくれているが、元々攻撃力が高かったチームに緻密な指示としっかりとしたゲームプランを提示し、さらには数値目標を明確化することで、昨年以上のチームへと成長を続けるAC長野パルセイロ。また、負けが無いからと言って、手放しで喜んでいるだけではなく、浮かれている選手には厳しい態度をとり、常に「模範となれるプロ選手となれ」と厳しく指導する美濃部監督。

実際には、宇野沢を含む数人しかプロ契約選手のいないAC長野パルセイロ。ほとんどの選手は、日中は長野市内の職場で働きながら選手を続けているものばかり。この日、出場停止の大橋に替わってボランチに入った野澤は、普段はガソリンスタンドで働いている。厳密にいえば、彼らはプロ選手ではない。しかし、美濃部監督は常に「気持ちはプロであれ」と選手を指導し、そして選手たちも来るべき「Jの世界」に向けてその檄に全力で応えようとしている。

長野にあって町田に無いもの。それは、「その先を見据えた確かな方向性」と、選手それぞれの「ひたむきさ」、そして卓越したマネジメント能力を持つ「指揮官の存在」なのではないだろうか?

奇跡を起こすために重要となる次節・讃岐戦

さて、数字上はJ2復帰の可能性(※リーグ2位以上が条件)を残すFC町田ゼルビアだが、限りなく厳しい状態であることは否定できない。29節終了時で勝点51の町田は、残り5戦を全勝して66。しかし、首位・長野は勝点4加算で67。さらに2位・讃岐も勝点5加算で67となり、全勝しても追いつけない。突きつけられた数字は厳しいものであり、すでに自力2位以内も厳しい状況である。

しかし、だ。次節にホーム野津田でカマタマーレ讃岐との直接対決が組まれており、ここで勝利すれば「奇跡」が起きる可能性も生まれてくるはず。町田らしいサッカーをする必要は無い。今、求められていることは勝利であり、必死にプレーすることだけである。またも週末は雨予報となっているが、そんな悪天候の中、町田はどこまで泥臭くプレーできるだろうか? 長野戦のような消極的姿勢では絶対に讃岐には勝てない。だからこそ、今の町田には、思い切った「開き直り」を望みたいところである。

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