#28 FC KOREA 李清敬 総監督 インタビュー Vol.1
-現在(2013年)では、日本国内でヘイトスピーチの問題やデモ活動があり、在日コリアンの方達も嫌な思いをする事があると思うのですが、こういう問題が起きている事についてどうお考えですか?
李 今回、2020年のオリンピックが東京に決まったじゃないですか。オリンピック憲章でも「差別は相入れない」と言っていますよね。20年、30年前なら(文化も)成熟していなかったかもしれないですが、今は韓国にも日本の文化が入っている時代です。そういう時代なのに「今頃になって、何でやるんだろう」というのがあります。政治的な部分なのか何なのか分からないですけど、そこは一番刺激してはいけないところだと思います。民間交流を色々な形で抑圧するというのは、良くないんじゃないかと。
「スポーツなどの文化的なものが影響を受ける。逆にスポーツは、文化交流で重要な役割を果たせる」
大変な時に一番影響を受けるのは、スポーツや芸術関係など文化的なものですよね。国交がどうだとか、あれがダメ、これがダメ、と。でも逆に、そういう時にスポーツは重要な役割を果たせる。それがスポーツの醍醐味、素晴らしい所だし、(ヘイトスピーチ等がある事は)寂しいですよね。また、日本人同士が賛成と反対に分かれて、在日コリアンがその間にいて。 (ヘイトスピーチに)反対している方は素晴らしいなと思いますし、賛成している人は「歴史や流れを本当にわかっているのかな」という気持ちになります。日本に色々な国籍の人がいるのは、日本が安全で素晴らしい国だからだと思います。それを日本の方が自分の国を否定するというか、自分達の顔に泥を塗っているようなもので、もったいない事だなと思いますね。
-そうですね。ところで、李さんは1958年生まれという事ですが、サッカーは何歳くらいから始めたんですか?
李 私は小学校3年くらいですね。
-物心がついた頃には、蹴球団の活動も始まっていたと思いますが、よく見に行かれたのですか?
李 漠然としか覚えていないですが、見に行っていましたね。その人達が学校に教えに来てくれたりしてね。
-李さんが朝鮮初級~中級学校に進学していく頃、蹴球団はほぼ無敵に近いチーム(※2)だったと思います。
当時、古河電気工業サッカー部(現・ジェフ千葉)や読売サッカークラブ(現・東京ヴェルエィ)にも勝っていた時代をリアルタイムで見ていた人達は、皆さん「偉大なチームだ」とおっしゃていますね。
李 JFAハウスにある日本サッカーミュージアムに、一つブースを作ってもらいたいですね(笑) それは日本サッカー協会の事ですから私が言う事ではありませんが、日本の諸先輩方に、蹴球団と一緒に戦ってくれた人達が沢山いるわけですよ。その強さも知っているし、「蹴球団のおかげで僕らも強くなりました」と言ってくれる方もいます。当時は日本の公式試合には出られなかったですけど、間接的にこの国のサッカーの役に立てたという部分が、今を思えばありますよね。
※2 在日朝鮮蹴球団の通算戦績(1962~2001年1月) 1,082戦 879勝 79分 124敗