#27 エリースFC東京 小宮敏裕 理事長 インタビュー Vol.2
-実際に大学サッカーは重要な役割を果たしていますね。
小宮 今はJクラブと大学サッカー部の関係が上手くいっていますよね。FC東京と東京学芸大学がコラボしたり、関東リーグにも横浜F・マリノスと工学院大学が協力して、日本工学院F・マリノス(※関東リーグ2部所属)にコーチを派遣したりしている。前に工学院の試合を見たけど、マリノスサポーターもいましたね。でも選手達はマリノスには行けない、失礼ながらそんなレベルじゃないから。マリノスにも下部組織がありますしね。ちょっと不思議な感じがしましたね。日本代表だったら日本のために戦う。大学サッカーでも早稲田だったら、エンジ色のユニフォームを着て戦うけど、彼らは生え抜きのマリノスの選手じゃない。マリノスからコーチが派遣されていて、チーム名にマリノスとついている。どんな思いで試合に臨んでいるのか、聞いてみたいですね。
-そんなJリーグの現状の中で、来年からJ3リーグが始動する話が進んでいます。アマチュアクラブにとって影響があると思われますか。
小宮 J3リーグが出来ると、現在のJFL18チームの中から8~10チームくらいがJ3に行ってしまうと。そうするとJFLに残ったほうは、下のカテゴリー(各地域リーグ)から6チームくらい入れないとやっていけない。それじゃあ「JFLの魅力って何ですか?」となりますよね。関東リーグの価値も上げないといけないけれど、JFLが中途半端になってしまったら、それは大きな問題だと思いますね。
-JFLの魅力を小宮さんはどのように考えますか。
小宮 全然無いですよね。関東リーグのクラブは運営費が120万円で、東京都リーグ1部のクラブは10万円なんですよ。JFLのクラブは1000万円。だいたい10倍ずつ上がっていますよね。JFLは全国リーグでやっていて、遠征で九州や東北に行くじゃないですか。遠かったら前泊しないといけない。企業かスポンサーをつけてやらないと、とても出来ないわけですよ。それでも会社としてもコマーシャルになるし、それで継続している企業チームもあります。でも、その企業もJリーグには行きたくないんですよ。「Jに行くのなら地域クラブチームとしてやってくれ」と。福利厚生の一環としてやっているわけですから、企業としてはそこまでお金は出さない。だからJFLって、これからあやふやになっていくんじゃないかと心配しています。
-何かアイディアはありますか?
小宮 それぞれの地域に落として、地域リーグにすれば良いと思います。それでトップチーム、あるいはそれぞれの上位2チームくらいまでをどこかに集めて、トーナメントをやる。それで全国一を決めれば良いんじゃないか。お金をかけて全国を回ってまで、やる必要は無いのかなと思います。ただし課題はありますね。JFLは有料試合で、関東リーグは無料だから。九州リーグなんかは有料もあるみたいですけどね。地域リーグによっても違うんですよ。何しろ、プロとアマチュアのピラミッドを大きく分けて、運営すべきだと思います。
-なるほど。他にはありますか?
小宮 もう一つのアイディアとしては、JFLの方がおっしゃっていましたが、トップリーグとしては、全国レベルで実施する必要があるとの事でした。そうした場合には企業をスポンサーとした、往年の「企業冠付き日本リーグ」の復活案だと思いますね。NTT東・西日本、三菱(重工、電気、自動車)、日立系、ヤマハ、古河系、日本生命、トヨタ、東京・大阪ガス、JR東日本、西日本、日本通運、これらの企業は社会人野球で実質チームを持っています。またユニクロ、ENEOS、日産、サントリー、キリン、キャノン、楽天、レオック、といった企業もイメージ的には社会人スポーツに理解が深いのではと思っています。こういった錚々たる優良企業にお願いして企業系チームとして参戦するのが良いかなと勝手に思っています。もちろん、これらの企業は既にJや関連サッカーチームに投資しているところもあります。スポーツに理解があって、企業文化にそれが根付いている事が、選択するには重要な点だと考えています。