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#18 横河武蔵野FC 依田博樹 強化担当 インタビュー Vol.3

横河武蔵野FC特集 第4弾 依田博樹 強化担当 ロングインタビュー Vol.3


強化担当に就任した依田氏は6シーズン監督を務めた、近年のクラブ強化を語る上で欠かす事の出来ない人物。1998年に横河電機サッカー部に加入。現役引退後、コーチを経て2007年に監督就任。2009年はリーグ2位に導き、2012年は天皇杯ベスト16進出を果たした。Vol.1 Vol.2と続いたロングインタビュー最終回は、クラブと選手の関係、育成組織とトップチームの在り方について伺っている。(インタビュー日:2013年2月)

以前、横河武蔵野FCに在籍していた太田康介選手(現・FC町田ゼルビア所属)が、ゼルビアに移籍しJリーグでプレーしました。彼のようにJを目指す選手は、今のチームにも多いですか?

依田 社員じゃない選手は、『そういう(Jでプレーする)気持ちでここに来ている』と言っています。ただ、言っているだけで「自分からどこまでアクションを起こしているんだ?」という思いが私にはあります。ですが、一応そこ(Jリーグ)を目指しているんでしょうね。そういう意味でも、ここの選手達が引き抜かれるような状況を作ってあげられればなと思っています。

「ウチを経由してプロになる状況を作っていきたし、再び戻ってこられる場所でもありたい」

-プロ契約する選手が誕生する事は、横河にとっては“クラブの誇り”となっているのでしょうか?

依田 今はそうですね。横河ユースの子達が(Jに)上がった場合に貰える育成費もあれば更に良いんですけどね。これだけ良い環境で選手がプレー出来て、「活躍すればチャンスが広がる」というのを売りにしたい。金銭的な報酬以外にインセンティブを与えられるとなると、そういう部分を売りにしていくしかないと思っていましたから。そこはチームとして持っておきたいなと。

-横河は非常にファミリー色が強いクラブだと思います。「プロになりたい選手はここからどんどん育って、また戻ってきて大丈夫だよ」と。懐の深さがありますよね。

依田 そういう雰囲気はあると思いますね。富岡(大吾)にしろ小林(陽介)にしろ、一度ウチを出た選手が戻ってきています。ですが、「みんながみんな戻ってきて良いか」と言うと、それは別問題です。過去にも『戻って来たい』という選手がいましたけど、周りに及ぼす悪影響もあると思うので、自分達の中に(出戻りの)基準は持っています。ここにいる選手達がハッピーになれるかどうか。何かの縛りで個人のハッピーが消されてしまう事は、我々としては考えたくないです。

-戻ってきやすい空気が、このクラブにはあるのでしょうか?

依田 あるのかもしれないですね。知っている選手がいるというのもあるでしょうけど、小林(陽介)は『恩返しをしたい』という事で来てくれました。もちろん、プレーするクラブが無かったのもあると思います。それでもウチでやりたいと言ってくれるのはやはり嬉しいですし、良い手本になって欲しいですね。

-富岡選手も出戻りですが、チームの刺激になっていますか?

依田 良い刺激になると思っているんですけど、まだ彼個人にそこまでの余裕がない。他チームに移籍して、また戻ってくる流れはあって良いんです。我々が望む事は、ここで頑張って外に出ていって、行った先のチームでどんな事が行われていたのかを、帰ってきた時に伝える「伝道師」になって欲しい。それは(富岡)本人にも言いました。プロの世界もあまり変わらないのか、それとも厳しかったのか。それを伝えてくれるだけで(他の選手達には)充分刺激になると思うんです。ですが彼自身、今は仕事の事もあってそこまで余裕がないんでしょうね。

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