#18 横河武蔵野FC 依田博樹 強化担当 インタビュー Vol.3
-横河電機の採用活動について伺います。金守(貴紀)選手や岩田(啓佑)選手は、大学サッカーでプレーしていましたが、一般学生と同じ就職活動をして入ってきたという事ですか?
依田 企業のリクルートも、経営状況に引っ張られてしまいます。新入社員の採用人数も、100人の年もあれば40人の年もあります。そこでサッカー部の枠も決まるんですけど、ここ数年は1人です。金守や岩田の採用の時は、まだ(好不況の)波が起きる手前だったので、全体で100人くらい採っていたんですね。確かサッカー部の枠では4人採れました。2009年は金守、岩田、関野(達也)、林(俊介)の4名でした。
-2009年はとても恵まれた年だったんですね。この4人が今のチームを引っ張っていますし。
依田 この年は大きかったですね。ただ、就職活動の路線に乗って入ってきている選手は本当に少ないです。と言うのも、この4人の中で金守と林は(他2人とは)1歳上なんですよ。2人は入社する前年のシーズンから、横河でサッカーをやっていたんです。
「本当に決意を持った選手を選べるかが大事」
-既に大学を卒業していたのですか?
依田 いや、留年して在学中でした(笑) 大学4年の時にプロ入りを目指したんですけど、行くクラブが無くて、『(横河で)サッカーをやらせて欲しい』と。当時はサッカーだけやりにきて、翌年、こちらから『ウチの社員になるか?』という話をして、社員になりました。こういう例は、彼らから始まりましたね。
-なるほど、卒業してしまうと新卒採用にならないので、あえて5年生をやる形ですね。大学に行く必要もほとんど無いから、サッカーに集中出来るわけですね。
依田 だからその時は、非常に戦力になるんです。(仕事も)何もやらないでサッカーだけやっているので(笑) 就業して仕事を始めると、また変わってきてしまうんですけど。
-いずれにしろ、今後の選手のリクルートが課題となりますね。
依田 良い選手を集められるかというより、「本当にここでやる決意を持った選手を選べるか」が大事だと思っています。ここに来ても、『お前、本当にプロを目指してやってんのか?』という選手もいますからね。それではダメなんですよ。「ここから這い上がっていこう」というギラギラしたものがないと。太田(康介)は少なくともギラギラしていましたからね。彼はそれがあったから、そこ(プロ契約)まで出来ているんだと思います。
-社員選手とアルバイトをしている選手を比べた場合、アルバイトの方がギラギラしているのではと感じます。その熱さ、ギャップはなかなか埋まらないのでしょうか。ギラギラしている側は『なんかヌルい』と、逆に社員選手からは『なんか違うんだよな』と。そういったギャップを監督時代に感じた事はありますか?
依田 言い方は悪いですけど、所得の格差による溝(意識のギャップ)は出ていないと思います。自分達が生活する上で、個人のギラギラした気持ちを(サッカーの)パフォーマンスに出して欲しい、出すべきだろうと勝手に思っているんです。『社員(選手)には負けたくない』とかね。
-そう思っているならもっと出来るだろう、という事ですよね。
依田 自分が生きていくためには、自分で何とかしないといけない。『お前、本当にそれでやれているって言えるの?』という選手は沢山いますよ。