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#15 横河武蔵野FC 依田博樹 強化担当 インタビュー Vol.1

-若い世代のレベルが上がっている事を最も感じる機会は、天皇杯の東京都予選だと思います。東京を勝ち抜く事はかなり難しいのではないでしょうか。

依田 それを実感しているのは、本当にここ数年ですね。現役の時より、指導者になってからの方が感じます。特に最初は明治大学ですかね。(※1) 長友佑都(現・日本代表、インテル所属)がスタメンじゃなくてね(笑) あの時はカルチャーショックでしたね。大学生に負ける事自体を認識していなかった。

-「苦戦する事はあっても、勝つのは横河だ」と。

依田 そういう気持ちはどこかにありました。あそこから考え方が変わりましたね。大学生、ましてや高校生までもか、と。(※2

-天皇杯出場は全国的な認知度も上がります。以前と比べて予選突破が難しくなっている中、天皇杯出場はクラブにとってどのような意義がありますか?

依田 クラブの認知度はもちろん広められればと思いますが、JFLとは違った“非日常”で試合が出来る事ですよね。良いスタジアムでお客さんも沢山いる中でサッカー出来るという事が、この上なく幸せな事だと思います。ましてや相手が格上チーム(Jクラブ)なら、リーグ戦よりモチベーションは上がるし、自分達の実力・レベルを測る場にもなります。それらが自分達が天皇杯に出る意義の一つだと思います。

-去年(※3)FC東京に勝利した後の会見で、「勝ってしまった」という表現をされていました。J1クラブと対等に戦うのは難しいという考えもあった中、勝利したのは先ほど言っていた“幸せ”があったからでしょうか?

依田 自分達が普段戦っているのはリーグ戦であって、それはJクラブも変わらない。彼らの中の“非日常”はACL(アジア・チャンピオンズリーグ)だと思うんですよね。我々にとっての天皇杯は、JクラブにとってのACLみたいなもの。違う環境で戦える事が一つのモチベーションになるのは間違いないでしょうね。

-去年、天皇杯出場を決めた後、「今年がラストチャンスのつもりで臨んだ」とおっしゃっていました。あの時から監督は今年限りで、という気持ちでしたか?

依田 その想いはありましたね。「監督を何年やる」という考えがあまり無かったんです。長年やっている人は、色々な手法を使って指導していると思いますが、選手に対して自分の言いたい事が伝えられなくなるというか、『選手達にどこまで響いているのか?』『どこまで理解してもらえているのか?』 と、これは決して選手のせいじゃなく、たまに自分の中で疑問に思う事があったんですよね。 『同じ事を言ってしまうと、選手は刺激的じゃなくなってしまうのでは?』 そういう事を考えてしまう自分がいました。それなら、『同じ事を言うにしても、監督が変わった方が選手にとっては刺激やモチベーションになるんじゃないかな』と考えていました。

-監督ご自身の中にも、6年間の中でマンネリ感があったのでしょうか?

依田 “マンネリ”という言葉が、選手達にも私にも一番しっくりくると思います。そういうもの、『もしかしたらチームの中で悪い方向にいってしまうんじゃないか?』という思いも少しありました。なので、動けるなら(監督を退くなら)思い切って動きたいな、と。

※1 2007年の東京都サッカートーナメント(天皇杯・東京都予選)準決勝で明治大学に敗れている
※2 2008年の同大会・決勝で国士舘大学に、2010年の決勝で東京ヴェルディユースに敗れている
※3 2012年は天皇杯・東京都代表として出場し、2回戦でJ1・FC東京に勝利している

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