#171 11/24 なでしこリーグ入替戦 第2戦 FC吉備国際大 vs スフィーダ世田谷FC
吉備国際大は1年間なでしこリーグを戦っており、チャレンジリーグでしのぎを削り合った昨年までのチームでは無かったかもしれない。加えてスフィーダにとっては、初めてなでしこリーグへの切符を掴みかけている状況。『普段通り』を心がけていても、試合の重要性は嫌というほど分かっている。それもあって、スフィーダらしいサッカーを見せる事が出来なかった。
「プレスを掻い潜る練習をいつもやっているので、それを出さないといけなかった。でも怖がって縦に急いでしまい、自分達の流れに出来なかった」 ゲームキャプテンの田中(麻)はそう言って唇を噛んだ。
ただ、初戦を落とした事であれこれ考える必要がなくなった。ゴールを奪って勝つしかない状況は、至ってシンプルだ。そのゴールと勝利を掴むために必要なのが、監督と選手が口を揃えて言う、自分達らしく戦う事だ。
相手のプレスを恐れず、パスを繋いだ
加古川運動公園陸上競技場は、晴天に恵まれた。スフィーダはパスサッカーを実行するべく、選手の配置を少しいじってきた。サイドバックの永田真耶が3トップの右に入り、DF臼井理恵は左サイドバック、センターバックの一角にDF川嶋珠生を据えた。川邊監督が「このポジションでは一番攻撃力がある」と評価する川嶋を最終ラインに配置する事で、ビルドアップしながら攻撃を組み立てるという狙いを明確にした。
吉備国際大のキックオフで試合が始まると、序盤は押し込まれる場面が見られた。第1戦と違ったのは、そこで相手に飲み込まれるのではなく、勇気を持ってボールを繋いだ事だ。
味の素フィールド西が丘では相手のプレスを恐れるあまり、クリアしては相手に拾われていた。吉備国際大のプレスは確かに厳しく、モロに受ければあっという間にボールを失ってしまう。だがそれを回避出来ればと、田中(麻)は考えていた。
「相手がかけてきた所で1個外してパスを出せれば。ボールに対してかなり圧力をかけてくるので、そこでいなせるかが大事」
キャプテンの目論見通り、スフィーダは丁寧にパスを回す事で徐々にペースを握っていった。前半7分には臼井が粘り、FW長澤優芽の落としからMF田中真理子がシュートを放った。