#31 FC KOREA 李清敬 総監督 インタビュー Vol.3
-下部リーグをもっと盛り上げていく方が、J1やJ2に良い選手を供給する流れが生まれるんじゃないか思います。現実的にチーム数が減ってしまうので、JFLも岐路に立たされています。例えば、松本山雅FCやFC町田ゼルビアなどプロ志向チームとアマチュアチームが凌ぎを削ってという魅力がありました。そういうチームを倒してプロになっていくというのが、JFLのひとつの面白さでした。
李 自分達はまずJFLを目標にしていたので、JFLが盛んになって貰いたいですし、自分達がJFLに昇格する事で「盛り上げたい、起爆剤になりたい」と思っています。ただ、こういう風に変化していく中で、また新たな課題が出てきているわけですが。
-都リーグからスタートして、JFLまで後一歩の所まで来ました。こういう状況(J3とJFLに分かれる)で、不可抗力のような部分ではありますが、チームとしてはチャンスと捉えていますか。
李 そこは前向きに捉えていますね。もう一つは、Jリーグが出来て、JFLが出来て、と色々変わってきているじゃないですか。東京都リーグに入って以前は優勝しても上がれなかったのが、関東リーグに上がれるようになったり、変わってきている。例えば10年後にどう変わっているか分からないですよ。例えばですけど、もしかしたらFC KOREAがJ2に入っているかもしれない。
-Jリーグ側でもアジア戦略や2ステージ制などの話題が出ています。スポンサーも日本国内だけでなく、アジア企業がもっと日本のクラブをサポートすると。世が変わり、FC KOREAのようなクラブが全国リーグで戦える体力がついていれば、それこそアジア企業が魅力を感じてくれるのかなと思います。李さんはサッカーを通して民間外交をやられてきていて、今の日本サッカーのシステムの流れをどのように感じていますか?
李 まだ自分達は大それた事は言えないですけど、東南アジアにJリーグの試合を流したり、ベトナムの選手を獲得するクラブもありますし、「戦略としてやっと動いたな」と思っています。今は外国人枠3人、在日コリアン枠、アジア枠とありますが、5人いるとチームが変わるという事ですから。Jリーグで強いチームを作るには、手っ取り早く言えば良い外国人選手を連れてくれば良い。もっとグローバルになったらラグビーのような形も有りかなと。昔はヨーロッパサッカーと南米サッカーを比較していましたが、だんだん近づいてきているじゃないですか。国ごとの特徴はありますけど、情報共有もしていますし。私はラグビーのようになっても面白いなと。
-クラブの理事長としてのビジョンを伺いたいのですが、JFLに上がる為に、選手を強化する以外に、環境作りも重要になってくると思います。環境が整う前に、急いでJFLに上がる事になったら大変かなとも思います。
李 一番は人間、環境ですよね。あと財政的な部分。指導者の問題もありますし。特に今、一番心配しないといけないのは財政的な問題だと。日本にいる在日コリアン、帰化した人を含めてやっぱりサッカーが好きなんですよね。「JFLに上がったら協力する」という人は全国に結構いるんですよ。
-JFLに上がった場合、ホームスタジアムをどうするか。東京都の競技場の少なさは問題ですよね。
李 私達は北区のチームなので西が丘を使えたら一番良いんですけど、なかなか使えないじゃないですか。でも出来ればホームとして何回かやれればなと思っています。そこはこれからですし、私は何もやっていないですよ。現場は監督がやってくれていますし、裏方はマネージャーが2人いますしね。自分も高校や社会人のチームを率いてきましたけど、チーム作りは会社と一緒で、一人では出来ないですよね。スタッフもトレーナーもみんな頑張ってくれていますし、素晴らしい仲間とやれています。