#30 FC KOREA 黄永宗 監督 ロングインタビュー
-調子が上向いていた中で、全社は関東予選敗退となりました。当時を振り返っていただけますか。
黄 あの時期はちょうど自分も怪我していて、試合に出られない状態でした。それで応急処置的に、自分と同い年の尹星二をセンターバックに下げたり、韓国から来ている黄希在を入れたりと、何とかチームを回していました。でも1つ、2つのズレで少しずつ歯車が狂ったのかなと思います。
-歯車を元に戻すのに時間を要してしまったと感じますか?
黄 そうですね、時間が掛かってしまいました。監督として見ている部分で、何か変えていけたら良かったんですけど。それでも(後期・第6節の)ヴェルフェたかはら那須戦がターニングポイントで、逆にあの試合で僕らがヴェルフェさんの歯車を狂わす事が出来たのかなと。あの試合は、今シーズンのベストゲームだったんじゃないかなと思います。
「調子を落とす時期があってもチーム全員が一つになって戦う事ができた」
-調子を落としながら、そこからもう一度上昇しました。チーム内で何があったのでしょうか?
黄 あの時は(首位と)勝点5差だったので、「ここで負ければ終わりだ」と思っていました。JFL昇格を目標に掲げていたんですけど、全社も関東予選で負けてしまった。地域決勝に出る為のスタートラインにも立てない状況になってしまう、と。それもあって皆がもう一回ひとつになって、チームとして「やらなきゃいけない」と。切羽詰まった状況で、自分達の力を出してチームがひとつになって戦えました。その気持ちが後にも活きてきて、東京23FC戦やクラブ・ドラゴンズ戦も勝てたのかなと思いますね。
-皆で言いたい事を言う機会を作ったのですか?
黄 その都度、定期的にやっているんですけど、若い子達は自分達で食事に行ったりしています。チーム的には数回ですね。全社の予選の前もやったんですけど、負けてしまいました(笑) グラウンド内でもだいぶサッカーの話をするようになってきていますし、去年の全社優勝で一人ひとりの意識が一段高まったのかなと思います。
-調子を落としてもズルズルいかなかった、そうした“しぶとさ”のようなものをどう感じますか?
黄 誰かが突出して上手いというチームでは無いので、皆がまとまっている時はしっかり戦えています。一人ひとりがもっと自分を信じて、仲間を信じてやれば、そんなに大崩れはしないと思っています。波はあったりしますけど、しぶとさという面ではチームの方向性が若い選手達にも浸透してきたのが大きいです。それから去年の経験と悔しさ。あれを味わった分、「今年こそは」という気持ちが一人ひとり芽生えています。それが、苦しい時に踏ん張れる力になっているのかなと。