#4 スフィーダ世田谷FC 川邊健一監督インタビュー Vol.2
-賃料は安く済んだのでしょうか?
川邊 それが無償で貸してくれるんです。「何を使ってもご自由にどうぞ」と言って頂いて。月曜日から日曜日まで、一週間使おうと思えば使わせて貰えるので、本当に有難いです。実費負担は電気代700円とかそういうレベルで、それって奇跡に近いですよ。私達もかなり調べ上げて知恵を絞りました。他チームだったら年間に何千万円か億が掛かるところを、ウチはほぼゼロに等しい金額でやれるんです。
「スフィーダ世田谷FCが、東京の新しいマネージングモデルを作り上げたい。」
-まさに『お金が無いからこそ、知恵を絞って解決した』という事例ですね。
川邊 そうやって東京都の23区内で生き残っていく、一つのモデルケースみたいな形を示していければと思っています。ウチの稲田能彦代表もよく言ってるんですけど、「サッカークラブの新しいマネージメントモデルを作り上げたい」と思っています。
-新しいマネージメントモデル?
川邊 ウチは他のクラブとは結構やり方が違うと思いますよ。沢山の企業からお金を頂いたり、支えられているわけではないです。もちろん企業スポンサーはありますが、他クラブと比べたら全然少ないですから。
-なるほど、“スフィーダ”という新しいモデルですか。
川邊 チャレンジしてみて分かる事が沢山あった。何も知らないからこそ、手探りで、“当たって砕けろ”で上手くいく事もあった。ここまで来られただけでも一つの成功かもしれないですが、まだまだもっと出来ると思います。クラブマネージメントも完全に独学ですし、私達も勉強している最中。自分達が生き残っていく術を見つけ、もっと知恵を出してやっていきます。お金が無くても、お金をかけなくても成長できるモデルとなりたいのです。
-沢山チャレンジしてきた結果、他にも何か連携が出来ているのですか?
川邊 色々なところと提携をしていますが、例えば、学生トレーナーの派遣ですね。いわゆるインターンのような感じで来てくれていて、ウチは交通費を含めて費用負担はゼロなんですね。学生にとっては実習になる、授業になっているんです。トレーナーと言っても、実際には1日2時間だけなんですが。授業の一環なのでアスレチック・トレーナーの先生も来てくれて、毎週1回ミーティングも開いて報告会を行っているんです。そうやってスフィーダの選手のケアをして頂いています。
-地元の学生さんとの連携するのは良いアイデアですね。
川邊 他にも挙げると、日本大学の商学部が地元にあるのですが、そこは学生さんが一つのチームを作って、「サッカークラブが出来る街作りは何か」「街での認知度アップの為に何をすれば良いか」といった事をやって頂いています。本当はそういった事を自分達でやる事が大切なんですが、クラブスタッフが少ないので、なかなか手が行き届かないところなんですよね。
-相手にとってもメリットのある提携であるわけですね。
川邊 色々なところとパートナー関係を結んで、いかに“お金を掛けないやり方”の知恵を絞るか。ちゃんと考えれば出来る事は幾つもあるんですよね。「スフィーダを中心としたコミュニティを作る」という考え方を、色々な方達と共有しながらやっています。
-サッカークラブがコミュニティの中心になる事は可能でしょうか?
川邊 企業なり、学生なり、地域の方なり、それぞれの得意な分野でスフィーダに協力して頂いて、「みんなのスフィーダだ」という認識を持ってもらっています。私達もそれぞれの方達に、出来る事を、それなりにですが、きちんと返していく。お互いに喜び合える関係を作っていけなければ、スフィーダのようなお金の無いサッカークラブは生き残っていけないだろうな、と思うんです。