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#77 9/9 天皇杯 2回戦 FC東京 vs 横河武蔵野FC

『東京偉蹴的 MATCH OF THE WEEK』 #77

JFL・横河武蔵野FCがワンチャンスを活かし前年度チャンピオン・FC東京を撃破

9/9(日)13時 味の素スタジアム
第92回 天皇杯全日本サッカー選手権大会 2回戦
FC東京 0-1 横河武蔵野FC

 
「何が起こったか、本当に分からなかったです。」
90分間にわたって、横河武蔵野FCのゴールマウスを守り続けてきたGK飯塚渉は冗談めかして答えた。

「入った瞬間、『キターーーッ!!』って。もう喜ぶしかなかったですね。」
後半アディショナルタイムに殊勲の決勝FK弾を決めたMF岩田啓佑も、ただただ笑うしかなかった。

“ジャイアントキリング”を起こすには、これしかなかった横河武蔵野FCの戦術

昨シーズンの天皇杯チャンピオン、そして首都・東京で唯一のJ1クラブ・FC東京を、JFLで現在12位の横河武蔵野FCが文字通りの『ジャイアント・キリング』を起こした瞬間だった。

FC東京のランコ・ポポヴィッチ監督が試合後の会見で「この結果を横河武蔵野さんへ、素直におめでとうと言いたい」と二度賛辞を送った横河武蔵野FC。

この試合では「リーグ戦では試合途中にやったが、スタートからは初めて」(横河武蔵野FC・依田博樹監督)の5-4-1という、専守防衛の形を取った。守備のポイントについて、依田監督は2点の指示を与えたという。

「まずスペースを空けると乱されるので、マークのズレを起こさないで、人を見るようにしました。2つ目は、FC東京さんの両サイドハーフ、両サイドバックをスピードに乗らせないことでした」

依田監督が与えた守備タスクを忠実にこなした横河イレブン。とはいえ、ペナルティエリアに“バスを置く”わけではなかった。「後ろのスペースを消しながらも、僕らの中盤4人の前でボールを回させるように必死にプレーしました」と岩田が語るように、5バックは時折ラインを押し上げる勇気を持ちながらプレーしていた。

実際にその傾向はデータにも表れており、前半で奪ったオフサイドは2。「(最終ラインの)裏を狙う意識はあったんだけど、そこで慌てて相手ボールになってしまった」(FC東京・MF石川直宏)と、相手の攻撃を分断することに成功する。前半最大のピンチは21分、セットプレーからのFC東京・DF森重のヘディングシュートだったが、ゴールライン直前でクリアして先制点を許さなかった。スコアレスで折り返した“必然の前半”に、ハーフタイム中も依田監督から「プラン通りだ!」という声も出たという。

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