#10 スフィーダ世田谷FC 川邊健一監督インタビュー Vol.3
「なでしこジャパンの活躍は確実に女子サッカーへの注目度アップに繋がっている」
-2011年の女子ワールドカップで、なでしこジャパンが優勝した事で何か変わりましたか。
川邊 それはもう、ワールドカップの優勝は凄く影響が大きかったですよ。今まで女子サッカーというだけで「え、女子?サッカーできるの?」あるいは「女子ってサッカーやってんの?」または「そんな(女子のクラブチーム)のあるの?」みたいなところから、話をしなければいけなかったんです。
-それは確かに説明が長くなりますね(笑)
川邊 「なでしこリーグ(1部)があってチャレンジリーグ(2部)があって、チームも日本に沢山あるんですよ」ってところから始めていたのが、女子サッカーというキーワードを話すと「あ、なでしこね!」みたいな形で、女子がサッカーをやっている事を世の中の人達が認知している事が大きいですよ。日本の女子サッカーは世界ナンバーワンの競技ですから、そこに対するプライドも持っていますし、影響は限りなく大きかったなと思います。
-まさに空気が一気に変わった感じですね。
川邊 世界一のスポーツと認識されたという事も大きいですし、流行語大賞にも「なでしこジャパン」がなりましたよね。それぐらい「なでしこ」という言葉が浸透したっていう事は、本当に有り難い限りです。その結果、女子サッカー界全体が盛り上がって、今(※このインタビュー)もそうですけど、こうやって取材して頂いてる。テレビ局さん含め各社さんに取材して頂ける、自然にクラブの宣伝になっているという、有り難い事です。
-スフィーダ公式戦の観客動員数はワールドカップ前と優勝した後では違いましたか。
川邊 違いました。以前はホーム観客数は300人ほどでした。スフィーダの場合、ワールドカップ優勝してから2ヶ月ほど、次のホームゲームまで空いてしまったのですが、あの日(2011年9月11日 vsノルディーヤ北海道)は1000人くらいでしたから、約3倍になりました。ワールドカップ優勝の後という事もあったのでちょっと盛り上げよう、集客しようと色々な広報活動をしたんですね。ポスターを地元商店街に貼ったり、試合ハーフタイムにショーをやったりした事で、観客数も増えたのかなと思います。でも結局、ワールドカップで優勝して「女子サッカーがここで見れるのか」という要因があったから集まった訳で、そういった意味では影響力が違いましたね。私達も広報活動は大した労力じゃなかったのに、あれだけの人が集まってビックリしてたんですよ。
-あの試合は我々も取材させていただきましたが、スタジアムも凄く盛り上がっていました。
川邊 当初は「観客2000人を集めよう!」と集客活動をやってたんですけど、さすがに2000人も集まるわけないな(笑)とも私達は思っていて、「1000人を超えたら凄いね」って話をずっとしてました。でも、「1000人」という目標を掲げても1000人には届かないから、目標を「2000人」にして結果的に1000人を超えたから良かったです。私達の中では一応目標達成なんです(笑)
-観客数が増える事で、選手達は緊張するよりも、プロ選手のようにモチベーションが上がるものですか。
川邊 当然そうだと思います。見られる事にやっと慣れてきた、というところですかね。今まで誰かに見られてサッカーをする事を意識してこなかった選手達なので。見られてると言えば、自分のお母さんやお父さん、あるいは僕だったりとか(笑)そういうレベルだったものが、地域の人やファンの人達が見に来てくれる。“見られるサッカー”という事は意識できるようになってきましたね。
(了)
~Vol.4(最終回)に続く~