#1 スペリオ城北 宮坂一朗GMインタビュー Vol.1
-地元商店街に試合告知ポスターが貼ってあるの見かけます。地元商業者の方達との連携という点では何か具体的に実践されていることはありますか?
宮坂 今はチームスポンサーのアサヒ冷機株式会社さんから製氷機をプレゼントされていますが、以前は色々な飲食店から氷を分けて貰っていました。うちの選手はある意味、贅沢なのかもしれないですけど、練習が終わると必ずアイシングをします。試合だけでなく練習でも氷を使うので、行きつけの居酒屋さんから氷を貰っていました。1ヶ所ではお店にも迷惑だろうから、何箇所から貰えるように私もお願いに行きました。あとは支援者の方達のネットワークで、色々な飲食店を紹介して頂いて「あそこに頼んでおいたから、店で貰ってくれ」というような事もありました。
-最初は「困っているなら助けてやるぞ」といったボランティア感覚だったけれど、徐々に地元で商売している方たちも、宮坂さんやスぺリオ城北を支える事が楽しいと?
「“サポーター”の広報力が支えになる」
宮坂 そういう風に言ってくれますね。
-スぺリオ城北という共通のテーマで繋がれている。
宮坂 あとは、クラブの広報力としたらサポーターの皆さんには頭が下がります。それこそ顔の繋がりがないところでも(ポスター貼り等)飛び込みで話してくださっています。試合の前日には駅前でチラシをまいたりとか、クラブではやりきれないところをホントに支えてもらっている。こちらから「申し訳ない」というと、「いいんですよ。私たち勝手にやっているんですから」と言われます。
-サポーターの方達からもお話を聞いて凄いなと思いました。Jリーグのサポーターがクラブと地域を繋げる活動の一環で、商店街にポスター貼り等をやっているわけですが、東京都2部リーグ(実質7部リーグ)の時から「地元のクラブのアピールを自分達でやるんだ」という姿勢に驚きました。そもそも都リーグのクラブには“サポーター”という存在や、チームと繋がる“街”が無い例が多いですし、スぺリオ城北は東京のアマチュアクラブとして新しいモデルケースに感じます。
宮坂 僕も一歩間違えれば違う形になるのかなーと心配していますが(笑)皆さんそれぞれがFC東京だったり東京ヴェルディだったり、Jリーグのクラブを応援している中で、共通項にスぺリオ城北があることによって今の形になっているようです。常に私も謙虚にお付き合いはしていこうと思っていますが、「とにかく我々はやらされているなんて気持ちはないですよ。それこそ、皆が知らない時から“俺たちスぺリオを応援してたんだぜ!”と言いたいんだ」って言われた時は鳥肌が立ちました。
-そう言って貰えているのは幸せですね。サポーターが今の形になったのは自然発生的だったのですか?
宮坂 やはりインターネットの力は大きいなと思っていて、例えば“城北”というキーワードであったり、“Jリーグを目指す”とか色んな部分で皆さん探しているんでしょうね。
-“地元のクラブを探す”サッカーファンのアンテナに引っ掛かったという事でしょうか?
宮坂 何年か前にある媒体で『全国でJを目指すチーム』として城北ランシールズも4~5行載ったことがありまして、「それを見ました」とか、「インターネットの検索でこんなチームがあるとは知りませんでした」「いつから活動しているのですか?」「応援させてください」とか色々な部分がありますね。一番最初は、小幡さんという方が私の目の前に現れて、その人がMixiにどんどんチーム情報を書き込んでくれました。その後、スペリオのBlogを書いている山根さんという方がジョイントされて、まずこの2人がサポーターの参加しやすい空気を作ってくれたと思っています。「サポートする事が“ねばならぬ”ではないんだ。我々は勝手連なんだ。チームに何も要求しない。逆にチームが困った時に我々に出来る事があれば、それでいいじゃないか。」と言ってくれました。クラブのホームページも小幡さんが作ってくれました。当初はあまりにも更新をしないホームページだったのですが、今はホームページ(※2)の更新頻度もコンテンツの多くなりました。
-自然発生的とは言え、非常に人にも恵まれてるというか、良い人達に支えられているのですね。
宮坂 僕もクラブ事務所で怒られる時があるんですけど、彼らにはなるべく情報を出すようにしているんです。些細な事でもなるべく。例えば練習ゲームが組まれた段階でtwitterでつぶやくようにしていますし、それをキャッチしてホームページに反映させてくれています。“信頼できるサポーター”として顔が見えているから、情報はなるべく分かった段階で素早く出すようにしています。
※2 スペリオ城北オフィシャルサイト http://www.sperio.jp/