#18 J2への帰還か、JFLの意地か ~5/4 南北多摩合戦~(後編)
東京のフットボールに関する様々なイシューをコラムで綴る「FOOT ISSUE」
FOOT ISSUE 第18回は、JFL所属の東京の2クラブのオハナシの後編です。 前編はコチラ。
南北多摩合戦 第1戦で見えた両チームの意地とプライド
5月4日に行われた横河武蔵野FCとFC町田ゼルビアの“南北多摩合戦”は、1-0で町田が勝利を収めた。ピッチの各所でプライドがぶつかり合う中、相手の隙を逃さなかったアウェイチームが勝点3を手にした。町田は連勝を6に伸ばし、横河は3連敗となった。明暗の別れる形となった両チームだが、シーズン開幕前の様相は現状とは異なっていた。
開幕戦の黒星で目覚めたFC町田ゼルビア
JFL開幕1週間前の3月3日、リニューアルされた野津田競技場のお披露目と共に行われた町田と横河のトレーニングマッチ。この時は、横河が軽快な動きを見せて勝利している。攻撃的なチャレンジが何度も見られ、前年までの堅守をベースにしたサッカーからの上積みを感じさせた。今シーズンの横河は一味違う。そんな感想を抱かせた。
対する町田は精彩を欠いていた。この時は、まだ本調子からは程遠い状態だった。
「あの時はしょうがないと言えばしょうがない。追い込んでいた時期で、体力的にしんどい時だった」
そう話すのは、育成・強化統括本部長の楠瀬直木氏。1年を戦い抜く体を作りあげる為、秋田豊監督の下、チームは厳しいトレーニングに取り組んでいた。体に負荷をかけ続けた中でのTMだったため、動きが重いのも当然だった。そうして迎えたJFL開幕戦の相手は、昇格チームの福島ユナイテッドFC。町田の選手達の動きにまだ軽快さがなく、連携も噛み合わないままだった。そして、高いモチベーションで挑んできた相手の勢いに呑み込まれ、大事な初戦を落とした。
だが、その後は9試合負け無し。第5節からは6連勝と下馬評通りの強さを見せている。キャプテンのDF深津康太は「初戦の敗北が良い薬になった」と語る。
「まだチームとして何をして良いのか、選手自身が分かっていなかった。開幕戦で負けた事で『ヤバイ』という雰囲気になって、どういうサッカーをしていくのか、皆で話し合う事が出来た。」
「今となっては、負けた事でここまで良い流れで来られたのかなと。開幕戦で悪い流れのまま勝っていたら、『これでいけるんだ』という感じになってしまったかもしれない。それだと成長もないし、今となっては、あの時負けて良かったと思う」
現在(第10節終了時点で)勝点23でリーグ2位につけている町田だが、まだまだ多くの勝利を欲している。