#17 J2への帰還か、JFLの意地か ~5/4 南北多摩合戦~(前編)
東京のフットボールに関する様々なイシューをコラムで綴る「FOOT ISSUE」
FOOT ISSUE 第17回では、JFL所属の東京の2クラブの対決をイシューします。
2年ぶりの南北多摩合戦 異なる未来を選んだ両者のラストマッチ 第1戦
“最後”の南北多摩合戦 JクラブとJFLクラブが交差する瞬間
いよいよ今週末5月4日に横河武蔵野FCとFC町田ゼルビアが武蔵野市立陸上競技場で対戦する。
両クラブが最後に対戦したのは2011年11月5日。多摩地区に本拠地を置く両クラブの対戦は“南北多摩合戦”と銘打たれた。試合は0-0のドローで終わったが、“Jへの鍵”を欲する町田に、かつての“JFLの門番”横河が立ちはだかるか、に注目が集まった。この年、ポポビッチ監督率いるFC町田ゼルビアはJFL3位でJ2に昇格。この2チームのダービーも遂に幕を閉じたと思われたが、翌2012シーズンに町田がJ2最下位でJFLに自動降格となってしまった。
こうして2年ぶりの対戦が実現となったわけだが、今度こそ最後になるであろう「JFL東京ダービー」を迎える前に、改めて2クラブの現在地と未来について押さえておきたい。まず、なぜ両クラブの対戦が今年で最後になるのか。それは、来シーズン以降の両クラブの目指す道が、既に分かれてしまっているからである。
今年1月、Jリーグから「2014年からJ3リーグ発足」が発表された。そのJ3参入条件など詳細が発表されたが、Jリーグの審査を通過した“Jリーグ準加盟クラブ”で構成される新リーグは、いわばJ1・J2リーグへの登竜門的リーグと言える。
町田は再びJ2の舞台に戻る為に戦っており(5/1 第9節終了時点でJFL2位)、今シーズンのリーグ優勝とJ2自動昇格が目標だ。リーグ2位の場合はJ2の21位との入替戦次第となるが、仮にリーグ3位以下で終わったとしても、来季J3リーグ参戦は決まっている。
プロ、アマ混合のリーグが作ってきたJFLの価値
対する横河は、来季以降もJFLに残留という道を選んだ。
「我々が今と変わらないくらいの経営力でJ3にチャレンジできるかというと、全然わからないのが現実です。スタートするのは難しい事じゃないと思いますが、それを継続する事は簡単ではない」
そう語るのは昨シーズンまでチームの監督を務め、今シーズンから強化担当に就いた依田博樹氏。クラブの現在地を冷静に見極め、現時点での最良な道を選ぼうとしている。
これまでJFLは、“Jを目指すクラブ”と“そうでないクラブ”がしのぎを削り合うリーグだった。そこには、異なる2つのベクトルが混在するからこその魅力があった。Jを目指しているクラブが楽に勝てるほどJFLは甘くない。アマチュアと言われる企業チームやクラブチームに実力者が揃うことで、JFLの価値も高まっていた。そうした水準を備えたリーグだからこそ、Jを目指すクラブのレベルも高まった。そんな側面がある事も忘れてはならない。