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#18 J2への帰還か、JFLの意地か ~5/4 南北多摩合戦~(後編)

「僕達は、来年もこのカテゴリーにいるわけにはいかない。これからも勝つしかない(深津)」

その思いを抱いているのは選手だけではない。楠瀬氏から返ってきた言葉は明快だった。

「ウチはJ2に行くんだ、という事」

J2への帰還という明確な目標を掲げ、それに向けて邁進する町田。南北多摩合戦の第1戦は、FC町田ゼルビアの本気度が伺えた試合だった。

正念場を迎えた横河武蔵野FC

横河は不安定な戦いを強いられている。10節を終えた時点での戦績は2勝2分6敗。順位も15位と低空飛行が続く。先日の町田戦後、MF岩田啓佑は悔しさを噛み締めながら語った。

「これまでと同じような試合をしてしまった。チャンスはあるし、試合内容もそこまで悪くないけど、1つのミスでやられてしまう試合がずっと続いている」

横河にもゴールを予感させるプレーはあった。しかしゴールは遠く、持ち味である守備では綻びを見せた。相手のクロスボールに対してマークが甘く、ゴール前の相手をフリーにする場面が散見された。個々の力で差はあるが、失点シーンを含めてこの日の横河の守備はややルーズだった。試合後、吉田康弘監督は後半30分以降の攻撃を評価していた。開始から迫力のある攻めを見せられれば、今の状況も打開出来るのかもしれない。

今シーズンで最後となるJFLでの“南北多摩合戦”。2009年に始まったダービーの戦績は、4日の試合を終えて4勝1分2敗と横河が勝ち越している。

岩田は「ライバルとして切磋琢磨してきた」と話し、こう続ける。 「相手はJを目指しているチームですけど、サッカーをやっている以上、そういうのは関係ない。同じ地域のチームとして負けたくない」

目指す道は違うが、同じピッチに立てばボールを追いかけ、相手からゴールを奪う。カテゴリーがどこかという話ではない、サッカーの本質が岩田の言葉から浮かび上がる。J3は誕生が、JFLの終焉を迎えるわけではない。アマチュア最高峰のリーグであるJFLの価値を維持し、そして更に高めていく事は、“JFLの門番”横河の責務でもある。

「JFLのチームには、Jリーグを目指しているチームには無い“良さ”がある。そこは責任を持ってやっている。アマチュアのトップとして、ひたむきに、一生懸命サッカーに取り組む事が僕らの使命だと思っている」

リーグ序盤の低迷に喘ぐ横河だが、長くJFLを支えてきたプライドもある。同じ東京都のライバルは好調だが、指をくわえて眺めていてはいけない。横河武蔵野FCにとって今が“底”。昨年は真夏の天皇杯予選が好転のキッカケとなったが、今年は何がキッカケとなるのだろうか。まさに正念場を迎えている。

(了)

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