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第22回 なぜFC東京なのか(後編)

大沼さん、いや大沼。初対面だが、この際呼び捨てにさせてもらう。「わかば」でも充分に緑だよ! 

「先々、娘をスタジアムに連れて行くようになったら、たぶん3人で行くことになりますよね。そしたら3人分のソシオに入り、人はこうやって染まっていくのかなぁ」

おいおい、他人事みたいに言うなよ。大沼、しっかりするんだ。君は笑っちゃうほど緑に囲まれているじゃないか。

「あ、ひとつ思い出しました。もしかしたらターニングポイントになったかもしれない試合が。2004年のナビスコカップ準決勝の東京ダービー。あの試合のチケットを2枚買って、奥さんと一緒に観に行こうとしたんです。楽しみにしていたんですけど、日にちを間違えちゃって。試合の前日、味スタに行ったら誰もいないんですよ。当たり前ですよね。それで試合の日は予定があって、行けませんでした。あれ、いい試合だったんですよね。ひとり少ないヴェルディが3点差を追いついて。あそこにいたら、変わっていたかも」

ああ大沼 なぜあの試合を見ていないのだ! 東京Vの有史以来、最も壮絶に戦い、最も美しく敗れた試合を。あの世でも、この世でもない、摩訶不思議な空間を。なんたる間の悪さだ。

さておき、FC東京と東京Vそれぞれのいいところと物足りないところを聞いてみよう。

「東京の好きなところは勢いがあるところですね。勢いがなくなると連敗しちゃう。昔のほうがその傾向は強かったです。0-2で負けていても、後半に追いついたり。わかりやすくて、面白かった。物足りないところはソシオのサービス面かな。もうちょっと魅力的な特典があってもいいと思う。ソシオに入っているメリットをあまり感じたことがない。ヴェルディは若くて有望な選手が次から次へと出てくるところがいいですね。東京もいるにはいるんですけど、レギュラーに定着するケースはそれほど多くない。一方、ヴェルディの残念なところは、いい若手が出てきてもすぐ移籍してしまうところ。粗末に扱っているわけではないのだろうし、経営的にそうせざるをえないところもあるのでしょうが、もったいないなと。自分がどのクラブか選ぶ際、そのマイナス面の印象は大きかったように思います」

なるほどね。わかった。これからもFC東京を応援しつつ、東京Vのことも気にしてくれているみたいだから、たまにはこっちにも来てください。それでいいや。

「はい、そうします。そういえば昔、海江田さんの記事を読んで、大黒(将志)を見に行ったことがありますよ。見るべき価値がある選手で、チケットも安いからスタジアムにおいでと書かれていて。スポナビだったかな。やっぱり動き出しが全然違うなと思いました」

あっそ、うれしいね。

「あと、本も買いました。『フィールドの異端児』」

気に入ったよ、大沼。著者を目の前にして、なんてダイナミックな間違え方をするんだ。本のタイトル「異端」しか合ってないぞ。

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