#152 9/14 関東1部リーグ 後期 第8節 東京23FC vs FC KOREA
右から卞がライナー性のボール送ると、これをニアサイドで合わせたのが、崔だった。「気持ちで入れるだけでした」という背番号10の渾身のヘディングが決まり、KOREAが今度こそ勝負を決めた。
「スタッフもサブの選手も含めて、みんなが最後まで諦めなかった。それが今日勝てた要因ですね」
試合後、攻撃のタクトを振り続けた朴は安堵の笑みをこぼしていた。“みんな”という言葉の中にはもちろん、退場してしまった洪も含まれている。試合後には、号泣していた洪をチーム全員が笑顔で迎えていた。
東京23FCに求められる成熟
KOREAの勝利への執念が実った試合だった。しかし東京23FCに焦点を与えると、ゲームマネジメントにおいてまだ甘さが見られる内容だった。
「もどかしいですよ」 試合後、米山篤志監督はそう言って唇を噛んだ。前半のうちにリードを奪い、人数でも上回った。しかし、こうした有利な状況を勝利に繋げる事は出来なかった。
10人のチームの方が11人の相手より良い試合を見せる事は珍しくないが、各々が適切なプレーをすれば、11人の方が有利なのは間違いない。「指揮を振れる選手がいれば」と、ピッチ上にチームを牽引するリーダー役がいなかった事を米山監督は惜しんだ。時間帯に応じてどのようなプレーをしなければならないのか。その点において、このチームはまだ若い。
2-2の同点に追いついた場面もチームの意地ではなく、「そういう状況にならないと出来ないのか」とエンジンのかかる遅さを嘆いた。窮地で力を出せるのは、チームのポテンシャルが高い証拠だ。しかし、窮地にならないと力を発揮出来ないのでは心許ない。
経験値が足りないチームではあるが、場数を踏めば自動的にゲームマネジメントが身につくわけでもないはず。練習や試合から様々な事を考え、常に成長する気持ちを持ち続けていないと、得られるものも得られない。関東1部初年度で上位に食い込んでいるのだから、力はあるのだ。だがこれから先、将来どんなチームになっていくのか。後に振り返った時、この日のKOREA戦は、東京23FCにとって極めて重要な試合になるかもしれない。