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#16 12/4 復興支援チャリティマッチ 日テレ・ベレーザ vs アーセナル・レディースFC

『東京偉蹴的 MATCH OF THE WEEK』 #16

12/4(日)13時30分 東日本大震災復興支援チャリティマッチ
日テレ・ベレーザ 1-3 アーセナル・レディースFC(多摩市立陸上競技場)

ロンドン五輪を見据えた日英クラブ女子チームの対決

前日の雨模様から一転、多摩市立陸上競技場の上空は雲ひとつない快晴に恵まれた。日テレ・ベレーザがアーセナル・レディースFCを迎えて、東日本大震災復興支援チャリティーマッチを開催した。試合前、スタジアムの外ではベレーザの育成組織である日テレ・メニーナの選手達が、募金箱を持って義援金を募っていた。観客もそれに応えて募金しており、たくさんのお金が集まったと思われる。また、ケバブやクレープなどの屋台では、売上の一部を寄付するという。

選手と共に入場するエスコートキッズやボールパーソンは、多摩市と被災地の子ども達が務めた。そして、ベレーザ・DF岩清水梓とアーセナル・レディースのローラ・ハービー監督が観客に向けて挨拶を述べた。

佐々木則夫なでしこジャパン監督も訪れた試合は、アーセナル・レディースのキックオフで始まった。スコアが動いたのは前半4分。MFキム・リトルがボールを持って前を向く。ペナルティエリア内のFWエレン・ホワイトにパスが渡るとこれを落ち着いて決め、試合開始早々にアーセナル・レディースが先制した。この失点までの間、ベレーザはリトルのマークが曖昧だった。何度もフリーで前を向かせてしまっており、修正する前に決められてしまった。

しかし、ベレーザもすぐに同点に追いつく。6分、FW岩渕真奈のシュートでCKを得る。キッカーのMF伊藤香菜子が低めのボールを入れると、相手が処理を誤りオウンゴール。試合は振り出しに戻った。23分には、ディフェンスラインからのロングボールに岩渕が抜け出す。飛び出してきたGKの頭上を超すループシュートを放つも、戻った相手選手にクリアされる。

アーセナル・レディースはポゼッションをしながら、機を見てベレーザの最終ラインの裏を狙う。そして31分、その形が得点となる。後方からのロングボールに2列目から飛び出したMFジョーダン・ノブスが、DFとの競争に勝ってシュートを放つと、ポストに当たってゴールに吸い込まれた。44分にもアーセナル・レディースが追加点を挙げる。左サイドで受けたホワイトがフリーランニングしてきたリトルにパス。リトルからのラストパスをFWジェニファー・ビーティーが合わせた。

後半開始からベレーザは、FW永里亜紗乃に代えてFW田中美南を投入。両サイドハーフのMF木龍七瀬とMF有吉佐織のポジションも入れ替えた。後半に入ると、岩渕は中央だけでなくサイドにも顔を出してボールを呼び込む。3分、右サイドで受けるとドリブルで仕掛けてクロスを送る。9分には、左足でコースを狙ったシュートを放つが、惜しくも外れる。

アーセナル・レディースは12分、右サイドで受けたホワイトが一人で持ち込んでシュートを放つも枠を捉えられない。25分、ベレーザはDF長船加奈に代えてMF小林弥生を投入する。小林弥がボランチに入り、伊藤がトップへ。田中が右サイドハーフに移った。小林弥が入ったことでパスが回るようになり、ポジションを一列上げた伊藤も積極的にシュートを狙った。

後半はベレーザが押し込む時間が続く。ショートパスがテンポ良く繋がる場面もあった。しかし、なでしこリーグでなら通るようなパスが通らないこともしばしばあった。シュートを打っても相手の足に引っかかり、守備でもリーチの差に苦しんだ。後半はスコアが動くことなく、1-3のまま試合はタイムアップを迎えた。

この試合は、両チームの特徴を見ることができた。アーセナル・レディースはパスを繋ごうとするチームだったが、ここぞという時のスピードはやはり迫力があった。左サイドのヤンキーは何度もドリブルで仕掛け、ホワイトも独走する場面があった。2点目のノブスのゴールも、抜け出すスピードが印象的だった。この試合、裏へのカバーリングに定評のあるDF村松智子が置き去りにされる場面があった。

対するベレーザは、ポゼッションは相手を上回っていた。中央で繋いでサイドに展開したり、サイドで人数をかけて突破したりと、崩しのバリエーションは多かった。サイドで一対一になった時は、岩渕や木龍が個人技で相手を翻弄した。また後半は、前線からのプレスで相手を押し込み、高い位置でボールを奪ってゴールに迫ることもできた。

ベレーザは今シーズンこそリーグチャンピオンではないが、日本女子サッカー界を引っ張る存在だ。そんなチームとイングランドの名門の試合が実現したのは、意義深いことだ。次はベレーザがイングランドに赴いて試合をするなど、日本とイングランドの女子サッカー界の交流が深まれば、それは素晴らしいことではないだろうか。試合後、ピッチサイドで岩清水、ホワイトらが子ども達と一緒に写真を撮ったり、サインを書いてあげていた。選手達は試合の疲れも見せず、笑顔で子ども達に接していた。

(試合後の監督・選手コメントは2ページ目以降に続く)

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