#3 1/22 東京ヴェルディ2012新体制発表会見
勝負の年に加入したヴェルディユースの選手達
昨シーズンから約半数のメンバーが入れ替わり、レギュラーを務めた選手も引き抜かれていった。財政状況が厳しい東京ヴェルディにとっては、シーズンオフになるとよく見る光景だ。しかし、ヴェルディはただの草刈場ではない。自ら種をまき、水をやり、大事に育てる土壌がある。このクラブの育成組織は日本最高峰だ。昨年のJリーグアウォーズで最優秀育成クラブ賞を受賞したことが、その証だ。
2012年は、ヴェルディにとって勝負の年だ。2年連続5位という結果には、誰も納得していない。今年こそJ1に昇格しなければならない。そんな大事な、決意に満ちた今シーズン、ユースから新たに4人の選手がトップチーム昇格を果たした。キャプテンを務めたMF杉本竜士を筆頭に、FW南秀仁、DF田中貴大、DF舘野俊祐。初めて踏み入れるプロの世界。しかし、彼らには新人としてではなく、戦力になりうる存在としてチームに貢献することが求められる。そして、彼らも1年目から試合に絡むことに意欲を見せる。
南が「どんどんシュートを打ってゴールを決める」と話せば、舘野は「サイドバックで出場したら左足で良いクロスを上げたい」と意気込む。田中は、自らをDF森勇介とプレースタイルが近いと分析する。実際、スピード豊かなオーバーラップは先輩に通じるものがある。杉本は、尊敬する選手にFC東京に移籍した河野広貴を挙げた。小柄で敏捷性があって、ドリブルを得意とするプレースタイルは、河野2世とも思える。
抽象的になってしまうが、特に杉本には目力がある。強気で、かなりの自信を備えているように見える。一刻も早く、サポーターに自分のプレーを見せたい。そんな意志が伝わってくる。新体制発表会見での、「死ぬ気で頑張る」という言葉に嘘はない。練習でも他の選手達に、必死についていこうとしているのが伺える。「川勝監督の日本一キツイ練習」(杉本)をしっかりこなし、加えて自分の特徴をどんどんアピールしていけば、1年目だろうと試合に絡んでいけるだろう。それは、杉本だけでなく、南、田中、舘野にも同じことが言える。
ベテランのサッカーへ向き合う姿勢が、若手の必死さを引き出すことがある。逆に下の世代からの突き上げが、年長者達を刺激することもある。そうやってチームがひとつになり、チーム力が上がっていく。ユースから昇格してきた彼らの努力が、J1を目指すヴェルディの戦力になれば、クラブの目標達成に大きく近づくはずだ。ルーキーに多くを求めるのは酷かもしれないが、この1年目の経験が、後に糧となっていくことだろう。
2012年は、東京ヴェルディにとって勝負の年だ。同時に、日本一の育成組織から上がってきた新戦力にとっても、重要な年となる。(了)
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新体制発表での山本佳津・育成副部長兼普及事業部長の挨拶
「第一部で稲城市長からご報告ありましたが、昨年12月5日のJリーグアウォーズにおいて、最優秀育成クラブ賞を受賞しました。この賞は今現役で頑張っているプロの選手達、そして育成選手のみんな、スタッフ、更には支えていただいてる多くの方々が一丸となってこの賞を受賞しました。本当にありがとうございます。そして、育成はこれから次のステップに進もうと思っています。
育成からトップチームに上がるには、海外で活躍できる選手、そしてトップチームでも中心選手として即戦力として活躍できる選手。そういった選手を輩出していかなければなりません。そのためにはサッカー選手として技術・体力があるのは大切ですけど、自覚と責任を持った精神力、そしてよりチームのために戦える選手。そういった選手をこれからどんどん輩出していこうと思っています。現状に満足せず、各選手、コーチには色々な目標があります。ですが、全てはトップチームのために、日本のために、これから選手一人ひとりが活躍できる場をまた更に私達も環境を整えていかなければならないと思っています。
ここで来年のスタッフを皆様に紹介したいと思います。まず、ユースの監督は冨樫剛一が務めます。冨樫は昨年、トップチームのコーチでした。そしてユースのコーチは、菅原智。こちらは昨年はトップチームの選手として活躍していました。ジュニアユースの監督は、森栄次。昨年はトップチームのコーチを務めました。そして、コーチは小笠原資暁。もう一人、鈴木俊。彼は小中高とヴェルディで育ちました。昨年まではJFLのSAGAWA SHIGAというチームのスタッフでした。ジュニアの監督は、引き続き萩村滋則。コーチは古川将大。彼もヴェルディの出身で、去年コーチに就任しました。GKコーチは沖田政夫。トレーナーには志賀淳と堀智明。この10名で育成を進めていきたいと思います。この育成はヴェルディファミリーとして、サッカースクールや地域の活動を支える普及活動、これには昨年同様、都並アドバイザーを筆頭とした5人のスタッフが頑張ります。その上に育成チームがあり、トップチームに続きます。是非、今年もトップチーム同様、育成チームも応援してください。そして、彼らを叱咤激励ください。彼らが未来のヴェルディの重要な選手になるはずです。是非、今年もヴェルディの育成を応援していただきたいと思います。今日はありがとうございました。」
(新体制発表記者会見および会見後の監督・選手コメントは2ページ目に続く)