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#2 スペリオ城北 宮坂一朗GMインタビュー Vol.2

「サッカークラブづくりは、街づくりと人づくり」 「都市型サッカークラブの文化を作りたい」

宮坂 そういう意味では今いる子達もいずれはスパイクを脱いで、ここから離れていくかもしれないんですよ。その時に、どこに分散しても「東京の城北にこういうチームがあるよ」って言って貰えたら、やはりクラブづくり冥利に尽きるというかね。“袖すり合うも他生の縁”じゃないけれども、1年や2年しか在籍しなかったけれど口コミで宣伝してくれているんだと知って、それを含めて自分はやりたかった事なんだと思いましたね。

-街づくりと人づくり、ですね

宮坂 そうですね、私も「街づくりは人づくり」と普段から言ってます。

-サッカー選手は、ただサッカーするだけじゃないんだと。

宮坂 だから必要とされることを、我々も自分達で探さないといけないですよ。なかなか若い世代が職にありつけないという、非常に厳しい日本経済の中で、「サッカーも続けたい」「彼女もいるから結婚を前提に、金を貯めなきゃいけない」と思っていても、環境は10年~15年前から色々とドラスティックに悪い方向へと変わってしまいました。そこを何とか地域の底力で支えていきたいです。

私の力で(チームが)どこまで行けるかは分からないですけど、誰がバトンを受け継いでも「最終的にはJリーグに上げられる環境ではあるだろう」と思っているんですよね。チームだけじゃなく、この地域がです。

僕がこのインタビューを受ける時にもお話ししたかと思いますが、ここの最寄駅がJR赤羽駅でして、私は駅の向こう側に住んでいるんですね。ある時、南北線という路線ができて、赤羽駅から赤いレプリカを着た人がどんどん埼玉スタジアムに向かう光景を見て、癪に障っていたんです(笑) 浦和レッズが発表している地域人口というのが140万人なんですが、北区・板橋区といった城北エリア人口を全部足していくと144万人なんです。だからマーケットとしては成り立つだろうと思っていたし、興味本意で色々な事を調査しているうちに、とにかく南北線であっち(埼玉)に流れる人を止めたいと思うようになりました(笑)

-北区赤羽で浦和レッズを応援するサッカーファンを、普段から結構目にされていると仰ってましたね。

宮坂 そうそう(笑)

埼玉に金を落として帰ってくるんじゃなくて、地元にお金を落としてもっと活性化したいとも。

宮坂 そうですね。試合のある日に「レプリカユニを着て来た人には生ビール1杯サービス!」じゃないですけど、スペリオ城北があるからこその経済効果というか、地域経済の底支えや夢を与える事って大事だと思うんですよね。東京にもどんどんシャッターを閉めていく街が増えているわけで、スペリオ城北で“賑わいのある街”というものが作れればね。もし、スペリオの話題で酒飲んでいる人がいたら…と思うと涙が出ちゃいますね。

-サッカークラブ作り、街づくりの冥利に尽きますよね、その瞬間は。

宮坂 この間、ある街でサッカーファンが集うお店にお伺いした時に「あ、こういうのをやりたいな」って思いましてね(笑)

東京という大都市の中で、サッカーで街づくりを実現するのはなかなか難しい、と言われています。ただ、それを成し遂げる、そういった光景を見届ける瞬間が来る、それがモチベーションで頑張れる、という想いもあると思います。自分の街の名前なり、地域を看板に背負っているチームがあり、街に住んでいる人達が勝った負けたを共通の話題にしている。そういった光景をスペリオ城北で実現できたら、と。

宮坂 そうですね。ひとつの形として“文化”という言葉があると思うんですよね。これは東京23FC(※3)も同じかもしれませんが、東京という都市型の中でのサッカー文化を支えるのは大変な作業かもしれません。日本サッカーのレベルは上がってきましたけど、地域資源や地域のポテンシャルをソフトで活かしながらという意味では、まだまだサッカーが文化になっていないですから。例えば、どこかの小学校は必修科目がサッカーになってるとかね(笑)  スペリオ城北は都市型の中のサッカー文化を作っていきたいと思っています。

※3 2011年は都リーグ1部&全社優勝を果たしたクラブチーム。2012年に関東リーグ2部に昇格

(了)

~Vol.3に続く~

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