#2 スペリオ城北 宮坂一朗GMインタビュー Vol.2
「現役選手のキャリアだけでなく、引退後のセカンドキャリアも考えてあげたい」
-例えば、ある企業が母体となっている社会人チームの場合、選手は社員が中心で、企業のサッカー部や同好会という形で活動しています。雇用も安定している中でプレーでき、一企業という枠の中で繋がりもあり、選手の住んでいる地域がある程度広がっていても、チーム作りは出来ますよね。
宮坂 そういうチームもありますが、スペリオ城北はそういうチームではなく地域のクラブチームですから。
-選手にはなるべく地元に住んでもらう。学生を卒業した後は地元で働いてもらいサッカーを続ける。しかもチームを強くしていく。良い選手は外からも連れてきて、職もワンセットで与える。そういうご苦労は結構…
宮坂 大変ですよ(笑) 大変というのは、お世話になっている会社にご迷惑をかける事。最初の頃は無断欠勤や遅刻など、本当に恥ずかしかったですよ。ウチなんかは零細企業ですけど、選手が2名働いています。「サッカーをやれる環境だから一生懸命働くんだ」という意味では、今は良質な選手が地元企業にお世話になっていまして、企業の方から「社内が活性化する」と言って頂けています。
-まず社会人としての自覚を持て、という事でしょうか?
宮坂 サッカーをやる前にまず社会人として、ですよね。本当に最初の頃は酷かったんです(笑) せっかく就職でお世話になったわけですから、仕事が合わないなら合わないなりに理由を述べて、ご迷惑かけないよう1ヶ月間位の猶予をもって、次の人に引き継ぎをするのが当たり前だろうと。だんだんバツが悪くなってくると、遅刻から始まり無断欠勤になって、そのうち会社に行かなくなっちゃう。
-当然サッカー(チーム)も辞めてしまうということですよね。
宮坂 原因はだいたい女性関係でしたね(笑) 丁度その頃なんですよね、今までサッカーやってきて遊べなかったし、お金も入ってきて遊びを覚えて、女性にのめり込んじゃう。
-都リーグ1部に上がる、何年後かには関東リーグに上がる、というクラブの目標がありロングスパンで考えてどういう選手を獲得していくか。と同時に、選手の職についても宮坂さんは考えていかなければいけない。
宮坂 そうですね
-プロクラブチームと比べ全く環境が整っていない中で、手探りで手作りでクラブチームを作っていく。前例のない事をやり続けるというのは大変かと思いますが。
宮坂 それは想定内というか、そういうものだろうと思ってやってきていました。現役選手としての食い扶持を探すのはもちろんですが、選手が引退した後どうするか、セカンドキャリアもですね。今、上田という選手が事務所の1階の整体院で(セカンドキャリアを考えて)マッサージ・整体の技術を学んでいるんですよ。
私としてはスペリオ城北をやりながらも「(引退後に)こいつらに何をやらせようかな」と思っていたんです。それなりに事務職をできる子もいるし、「勉強は置いてきました」なんて子もいるので、じゃあ手に職をつけさせよう、とか。現役選手は余程のことがない限り、解雇通告は無いです。引退した後どうするんだろう、という時になれば、それも考えてあげたいなと。
-引退後のキャリアも考えてあげたい、と?
宮坂 口コミっていうのは大事ですから。転勤などで何人かウチを離れていった選手がいました。今度、地方クラブからジュニア部門のコーチを一人採用するんですけど、「なんでウチを知ってんの?」って聞いたら、「スペリオ城北にいたハルヤマコウヘイという選手から聞いて『このチームは本当に面倒見が良いチームだから』と薦められて決めました」と。