#17 J2への帰還か、JFLの意地か ~5/4 南北多摩合戦~(前編)
横河武蔵野FCはアマチュアのクラブチームであって企業チームではない
町田はプロクラブ、横河はアマチュアクラブである。ここで明確にしておきたいのは、横河のクラブ形態だ。
横河電機の社員が多く在籍していることから、企業チームと認識している方がまだ多いと思うが、横河は2006年にクラブチームに姿を変えている。
現在も社員選手が多く所属しているが、近年は社員採用枠が僅かに「1名」と、狭き門となっている。在籍選手の中には他企業で働く者や学生もいて、完全な企業チーム(実業団)とは一線を画している。
そんな横河にとって、もちろんJFL優勝が目標だが、J準加盟クラブがリーグ上位を占める状況は、近年のチーム強化の難しさを表している。(5/1 第9節終了時点でJFL15位) また、J3リーグの誕生で来季以降JFLの注目度の低下が危惧されている。アマチュア最高峰のリーグを廃らせてしまってはもったいない。来季以降もJFLに残るクラブには、JFLを価値あるリーグにし続ける責務もある。企業チームからクラブチームへと転換を始めた横河武蔵野FCの今後に注目したい。
J復帰へ、足場を固めるFC町田ゼルビア
1シーズンでJ2復帰を目指す町田だが、まだリーグ独走できるほどの力は示せていない。ただ、JFL降格した今シーズンを漫然と過ごさず、しっかりと計画性を持ち、この1年を意味のあるものにしようとしている。
1月に行われた新体制発表会の壇上で、楠瀬直木強化・育成統括本部長はこう語った。
「今年は必ずJ2に復帰する。また3年後、5年後にJ1を狙えるチームにしないといけない。今年は若手をたくさん補強しました。彼らを育て、そして育成部門も強化していく事を決めました」
経験は少ないが、未来ある若手が多数在籍するFC町田ゼルビア。今から選手をしっかり育てることでJ2復帰、そしてJ1へ駆け上がっていく。今シーズンはその基盤を作る年でもある。
Jリーグが産声をあげて早20年が経った。そして今、新たな歴史が始まろうとしている。その象徴がJ3リーグの誕生とも言えるだろう。Jリーグを目指し邁進するクラブ、あえてJFLに残るクラブ。行き先は違えど、どちらもクラブの未来や応援してくれる人々の事を考えて決断を下しているだろう。
5月4日は、そういった立場の違うクラブ同士が激突する試合でもある。
~後編に続く~
(了)