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#5 1/28 FC東京 2012新体制発表会見

ランコ・ポポビッチ監督の新たな旅

昨年、攻撃的なコンビネーションフットボールを披露し、JFLながら大きな注目を集めたFC町田ゼルビア。そんなチームを率いていたのが、ランコ・ポポビッチだ。このセルビア人監督が、2012年からJ1・FC東京を指揮することになった。新たな働き場所に移っても、ポポビッチ監督の信念は何ひとつ変わらない。
「攻撃的で、アトラクティブな、観ている人を満足させるサッカーを展開する。」
J1のチームを、初めてシーズン最初から率いることになった。それも、J1で上位を狙えるメンバーを揃えるFC東京でだ。このことに対するプレッシャーはないか、と問われたポポビッチ監督は、自信満々に答える。「全くない。むしろ光栄に思う。」

FC東京とポポビッチ監督の相性も良さそうだ。FC東京は以前から「最終ラインからビルドアップをしながら、アタッキングサードに侵入していく」サッカーを標榜している。このクラブは、ポポビッチ監督と同じスタイルを目指している。このクラブでどんなサッカーを見せたいか、と問われたポポビッチ監督は、「コレクティブ、アトラクティブ、魅力的で攻撃的なサッカーを展開して、毎試合勝ちに行く。そして、常に相手より1点でも多くのゴールを決めて、サポーターに満足して帰ってもらう。サポーターを満足させることも評価に繋がるので、実現していきたい」と、かなり具体的に語った。

ポポビッチ監督のサッカーは、まさに1点取られたら2点奪い返すというものだ。そのために、どうすればゴールを奪えるかというのを突き詰めている。その答えが、最終ラインからのビルドアップやテンポの早いパスワークといった、ボールを保持するポゼッションサッカーだ。そのポポビッチスタイルとも呼ぶべきサッカーが、FC東京で実現する。サポーターは今からワクワクしているのではないだろうか。

ただ、彼が攻撃だけを押し通す監督かと言えば、そうではない。守備に比重を置いているわけではないが、無関心ということも勿論ない。昨年のある日、町田ゼルビアの練習場。戦術練習を重ねる中で、ポポビッチ監督の口から「リスクマネジメント」、「バランス」という単語が何度も出ていた。攻撃の選手がポジションチェンジを繰り返しながら次々と相手ゴールに迫る中で、必ず一人はカウンターに対応できるようポジションを取っていた。このように、ゴールを奪うためにリスクを冒しながらも、リスクマネジメントもしっかり行うという難しいサッカーを実践していた。そのコンセプトが町田ゼルビアに浸透したのはシーズン後半戦だったが、その頃から勿体無い失点が減少していった。このスタイルをJFLのチームで出来たのだから、FC東京にも出来ると考えるのは普通だ。しかし、完全にマスターするには相応の時間がかかる。これを自分達のモノにしてしまえば、FC東京の今シーズンは明るいのではないだろうか。

大分トリニータでは、後に日本代表にまで登り詰めることになる清武弘嗣ら、将来有望な選手を育てあげた。そして町田ゼルビアでは、JFLで異彩を放つスタイルでJリーグ昇格を果たした。日本サッカーに確かな足跡を残し続けるランコ・ポポビッチが、FC東京を率いる。J1唯一の首都・東京のクラブに今年、多くの注目が集まる事になるだろう。(了)

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(新体制発表記者会見および会見後の監督・選手コメントは2ページ目に続く)

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