#173 11/30 関東社会人サッカー大会 準決勝 慶應BRB vs ジョイフル本田つくばFC
リードを奪われた慶應だったが、福田監督は慌てない。むしろ、1点先制される事こそ、この試合に勝つためのプランだったからだ。その理由はこうだ。
「ウチが1点取ってしまって、そこで守備に回ったら絶対に守り切れないと思っていました。だったら先制された方が僕らとしても開き直れる」
全社や地域決勝で幾度か逆転勝ちを収めているジョイフルに対し、あえてビハインドを背負う事で、選手達に攻撃の意識を90分間持たせる狙いがあった。
あえての1失点 後半はよく攻めたが
そして迎えた後半、ある意味ショック療法にも思えるやり方の効果は、確実に見られた。ジョイフルのハードワークは相変わらず高いレベルにあったが、慶應も攻めの気持ちも前面に出し、次第にゴール前へと迫れるようになった。しかし、決定打を放つ事は最後まで出来なかった。
両者のシュート数はジョイフルの12本に対して、慶應はわずか2本。後半は可能性を感じさせる攻撃があったが、それでも相手ゴールを脅かす場面は作れなかった。両者には明確な差があった。ジョイフルはこの1ヶ月半ほどで、全社と地域決勝という大舞台を経験している。しかも全社ではベスト4まで進出しており、その強さはやはり今大会の出場チームでも頭一つ抜けている。
対する慶應は東京都2部から今シーズン1部に昇格したばかりだ。1年目で関東大会の出場権を掴み、関東リーグ昇格まで後1勝という所まで迫った。この事実だけでも、慶應というチームの可能性の大きさが分かる。ジョイフルにはスコア以上に圧倒された。だがこの経験は必ず活きるだろう。「こういうチームと対戦出来たのは良かった」という冨田の言葉には、慶應BRBを更に成長させたいという思いも込められているはずだ。