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#149 9/1 チャレンジリーグ 第19節 スフィーダ世田谷FC vs 清水第八プレアデス

結果は圧勝だったが、手放しで喜べる勝利ではない。サッカーは何が起こるか分からないスポーツとはいえ、両者の実力差を考えれば勝点3はある程度保証されていた。同点に追いつかれてバタついたが、それも自分達で自らの首を締めた形だ。相手に崩された形でのピンチは無かった。

勝利は言わずもがなだが、この日はどのような戦い方をするかという点も、大事な要素だった。次節からのラスト3試合は、いずれも強者が相手だ。ノジマステラ神奈川はチャレンジリーグ初挑戦ながら上位に食らいついている。ASエルフェン狭山FCは、リーグのレベルを超越した戦力を有している。そして日本体育大学女子サッカー部は、スフィーダにとってあまり相性の良くない相手だ。いずれの試合もシビれる展開が予想される。

だからこそ、この日は目先の勝利だけでなく、次節以降を見据えた戦いを見せて欲しかった。不安が残った、という印象が強い。試合中にとったメモを読み返すと、『つまらないミスが多い』と3回も書いていた。スフィーダはビルドアップの段階で相手にボールを渡してしまっており、自陣での不用意なプレーが目についた。「一つ飛ばすようなパスを意識している」とDF田中麻里菜が言うように、パスにしっかりと意図があったのは事実だ。だがボールが浮いたり、味方からずれたりと、安心して見ていられる組み立てではなかった。自陣でのミスが失点に繋がったのは、同点に追いつかれた場面のみだった。だが、相手がエルフェンやノジマステラだったらどうだろうか。スフィーダが覗かせた隙を見逃す事なく、確実に突いてくるだろう。

大勝は収めた。下位のチームに取りこぼさない事も、スフィーダが上位につけている一因だ。しかしそこから更に先、次に対戦する強豪との試合をイメージしながら戦えれば、とも思うのだ。自陣での不用意なミスについて、田中(麻)は「毎試合そういうプレーがある」と話す。セーフティに蹴り出すスタイルではないだけに、ミスは常に隣り合わせだ。それを恐れて持ち味を消してしまっては本末転倒。だからといって、この日のようなプレー精度では心許ない。

「相手がミスをするだろうなという考えがあったのかもしれない」

ベンチから外れたDF臼井理恵は、試合を見ながらこんな事を思っていた。例え相手にボールを取られても、ピンチにはならない。そういう考えがどこかにあったのかもしれない。それが緩慢なプレーに繋がったのではないか。

そのような心の隙は直ちに排除しなければならない。自分達から綻びを見せていては、勝てる試合も勝てるはずがない。

「一人ひとりが責任感を持ってプレーしなければならない」と、田中麻里菜は言う。当たり前の事だが最も重要な事を再確認し、スフィーダ世田谷FCは1週間を過ごす。

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