#104 12/16 高円宮杯チャンピオンシップ サンフレッチェ広島ユースvs東京Vユース
12分、自陣で広島ユース・野津田に拾われると、時間を与えフリーでシュートを許す。アウト回転のかかったボールはGKの前でバウンドし、ネットに吸い込まれた。18分にも平田にフリーで決められ、スコアは1-4。広島ユースを相手に3点差をひっくり返すのは至難の業だった。必勝を期した東京Vユースのチャンピオンシップは、よもやの大敗に終わった。
開始早々の失点は、試合運びに大きな影響を及ぼした。らしさを発揮する場面は数える程で、チグハグな印象を残す敗戦だった。攻撃ではイージーなミスでチャンスを逃し、間延びした中盤で相手に自由を与えてはフリーでシュートを打たせてしまう。東京Vユースは、チームワークに乏しいわけでは決してない。だが、「相手の方がチームとして戦っていた」とDF楠美圭史が言うように、広島ユースの傑出した全員サッカーが輝きを放った試合だった。
試合後の両チーム監督・選手コメント
サンフレッチェ広島F.Cユース・森山佳郎監督
「相手はトップチームに昇格する選手が6人いるということで、上手い事は分かっていましたし、個人では勝てないかなというのは感じました。ただ、全員で相手の上がりよりも速く戻って、相手の戻りよりも先に上がるといった、数的優位を作る走りがあれば、局面で負けない勝負が出来るんじゃないかなと。後はウチの特徴ですけど、最後まで諦めずに誰かが寄せたりキーパーのファインセーブがあった。魂を持ってやってくれました。得点があまりにも綺麗に入ったというのがあって、決めるべきヤツがしっかり決めたゲームだったと思います」
-守備で相手を上回っていた試合だと思いますが?
「今日もディフェンダーと呼べるのは大谷ひとりで、もう一人センターバックがいれば良かったんですけど、中盤の浅野間や宮原が埋めてくれた。宮原はU-16の代表の予選でも中心で、良い経験を積んでくれてチームに力をもたらしてくれました。浅野間は、イタリア遠征に行った時にディフェンスがいなくて、しょうがないからお前やれという感じだったんですけど、読みとかですごく賢くやってくれました」
-トップチームがJ1で優勝しましたが、ユースとトップの関わりについて教えてください。
「僕らは新幹線の移動中に一報を聞いて、その翌日の試合も異様にテンションが高かったです(笑)。前半に5点取って、その煽りじゃないが後半にガクッと落ちて2点を叩き込まれて後味の悪い試合だったんですけど、その時も選手達はアベック優勝を意識していました。トップとユースは違いますが、3年生が引っ張って強烈な団結力を作ってくれる。春夏はダメで秋から一番良くなるんですけど、3年生の頑張りが大きいと思います」
東京ヴェルディユース・冨樫剛一監督
「もっと良いゲームをしたかったし、自分自身、悔いが残るゲームでした。ただ、ここまで1年間継続して戦ってきたからこそ立てた舞台だと思うので、負けたことで彼らの1年間の努力が消えるわけではありません。また、上のレベルでチャレンジする選手もいるし、下級生はまた同じ舞台に立てるように、明後日からまた良いトレーニングをして戻ってこられるようにしたいと思います」
-悔いが残るというのは、最初の失点の場面ですか?
「いや、最初の失点はセルフジャッジからだったので、そこは僕の指導不足です。ただ、その後88分くらい時間があったので、ボールを動かして相手を動かして、攻撃的にゴール前のシーンを沢山作りたかった。ビデオで見直していないので何とも言えないですけど、ピッチの中でプレーをやり直してドリブルがすごく多かったと思います。ボールを動かす距離、角度、サポートの部分が少し足りなかった。逆サイドまで関与できるゲームではなかったのかなと」
-春先の敗戦と今日の対戦を比べて広島ユースの印象はいかがですか?
「お互いに1年間鍛えてきて、こういう晴れ舞台に立ちましたけど、やはり広島ユースのファーストプレーの精度やシンプルにサッカーを構築していく所は、相変わらず本当にしっかりしているなと思いますし、見習うべき所だなと感じました」
-ここまでの準備の難しさはありましたか?
「トップチームから帰ってきた選手とユースの選手の融合に時間がかかった。我々が何故ここまで1年間勝ってきたか、そこに立ち返る所で非常に苦心しました。トップで使われているポジションや役割が違ったりだとか、まだまだ育成の要求が多いので、その役割の部分で少し時間がかかったかなと思います」
<試合後の選手コメントは3ページ目に続く>