#104 12/16 高円宮杯チャンピオンシップ サンフレッチェ広島ユースvs東京Vユース
『東京偉蹴的 MATCH OF THE WEEK』 #104
ユース年代の頂上決戦 東京Vユースはディフェンディングチャンピオンに屈す
12/6(日)12時 高円宮杯U-18サッカーリーグ2012 チャンピオンシップ
サンフレッチェ広島F.Cユース 4-1 東京ヴェルディユース 埼玉スタジアム2002
2位との勝ち点差は16ポイント。結果だけを見れば、プレミアリーグEASTにおいて東京ヴェルディユースは圧倒的な強さで優勝を果たした。しかし、冨樫剛一監督は即座に否定する。苦しい試合を繰り返す中でチームが成長し、その結果として得たのがプレミアEAST制覇だったのだと。そんな今シーズンの集大成が、サンフレッチェ広島F.Cユースとのチャンピオンシップだ。西の王者は心技体を兼ね備える最高峰のチームだ。春先に0-4と大敗している相手だけに、東京Vユースにとってこの1年の成果をぶつけるには格好の相手だ。
開始早々の失点が尾を引くことに
だが、東京Vユースはいきなり劣勢に立たされることになる。前半1分、スローインを受けたMF中島翔哉のバックパスがずれて、広島ユースにCKを与えてしまう。このCKを処理しようとしたGKポープ・ウィリアムが相手と交錯し倒れ込む。ここで東京Vユースの足が止まるが、広島ユースはプレーを続行。クロスボールをニアですらすと、MF野津田岳人が無人のゴールに蹴り込んでスコアが動いた。
ここで問題なのは、ポープが倒れた時に他の選手達が足を止めてしまった事だ。集中を切らさずにプレーを続けていれば、クロスの精度を落とせたかもしれないし、競り合いの前にもっと良い準備ができたかもしれない。
大事な試合でビハインドを背負ったものの、時間は多く残されていた。だが、なかなかいつものパスワークが見られない。一つは、呼吸が合わずパスがずれる為。もうひ一つは、広島ユースの守備の良さに苦しめられた為だ。「5番があそこにいる事でウチの攻撃の1歩目のパスが止められた」とFW高木大輔が振り返ったように、広島ユースのボランチ・MF平田惇が締める中央を崩せなかった。また一人ひとりのハードワークも素晴らしく、東京Vユースはプレーの選択をしている間もなく相手に寄せられて奪われた。
ギアの上がらない東京Vユースだったが、29分にようやくチャンスを作る。中央でFW前田直輝がうまく相手をかわして前を向くと、そのまま持ち込みミドルを放つ。2分後には右サイドでMF澤井直人が粘って繋ぎ、中島が相手に囲まれながらヒールで落とす。これを前田が狙うも、相手GKの手をかすめクロスバーに直撃した。次第に相手ゴールを見据えたプレーが出てきたが、次のゴールは広島ユースに生まれる。41分、野津田がマークを数人引き連れながらラストパスを通すと、MF末廣浩暉が右足ダイレクトで合わせ、ゴール右隅へ決めた。
中盤が間延びし、フリーで叩き込まれる
2点をリードされる展開だったが、高木は「0-2でもチャンスはあると思っていた」と言う。そしてその通りに後半2分、CKからDF畠中槙之輔の折り返しを、MF安在和樹が左足で押し込み、1点差に迫るゴールを奪った。
だが、その後もプレーが噛み合わない場面が目立つ。余裕がないように見え、いつもなら問題無くできるパスやトラップにミスが出て、フィニッシュの構築ができない。そして、ゴールを奪おうと前がかりになったことで全体が間延びし始める。スペースが生まれた中盤を、広島ユースに使われる。