#12 11/23 JFL 前期 第6節 横河武蔵野FC vs HONDA FC

『東京偉蹴的 MATCH OF THE WEEK』 #12

11/23（木）16時　JFL 前期 第6節　横河武蔵野FC 0-0 HONDA FC（江東区夢の島競技場）

決めるべき時に決めていれば…という常套句が付きまとう今季の横河武蔵野

横河武蔵野FCは前節（11/19）ツエーゲン金沢戦のスタメンから、中盤2人（常盤亮介、遠藤真仁）を入れ替えてHONDA FC戦に臨んだ。MF岩田啓佑が出場停止、MF林俊介は“諸事情”で欠場。ベンチに目を移すと依田監督の姿もなく、コーチの平井知之氏が監督代行で指揮を取る。平日の祝日とは言え、選手や監督も社会人として仕事をしているJFLアマチュアクラブの事情が垣間見えた形となった。

ここ2戦、アウェイ2連勝と結果を出している横河だったが、JFL残留には“あと一歩”の状況が続いている。この日行われた13時キックオフの各試合結果で、アルテ高崎とMIOびわこ草津が同勝点31で並び、今節HONDA戦に勝利すれば、差を広げられる。普段とは少し違った心理状態で迎えた試合が16時にキックオフされた。

試合開始直後からHONDAはFW川島大樹の縦へのスピードを生かしつつ、サイドから分厚い攻撃を仕掛ける。横河もDF陣を中心に手堅い守備でペナルティボックス中央で跳ね返す。まずは守備から入るのが今シーズンの横河らしい戦い方。序盤は受けて立つ形の試合運びから、徐々に相手のスピードにも対応してくる。横河はボールを奪った後は徹底して相手DFラインの裏、そして左右のスペースをつく。徐々に自分達のペースを掴み、互角の戦いを見せた。

そして前半34分、この試合最大のチャンスが横河に訪れる。横河DFラインからのロングボールが前線に張るFW小林陽介の元へ。ペナルティエリア付近でバウンドしたボールを一度は見失うも、再び足元に収め前を向く。背後からはMF永露大輔がスペースに走りこみ相手DFを引き付ける。相手DFのボールへの寄せの甘さをついて、そのまま右足を一閃。GK頭上を越えゴールマウスに突き刺さる、かと思われたボールはクロスバーを直撃。横河ベンチと観客、そして本人も頭を抱えた。決定的な得点チャンスを逃した横河は、そのまま前半を0-0で終える。

後半はHONDA FCの攻撃力に圧倒され、横河はなかなか攻撃の形を作らせてもらえない。前半以上にスピードが増し、球際の強さが際立つHONDAの攻撃陣は、MF西 望実・細貝竜太・中村祐哉を中心に右サイドから徹底的に攻め立てた。横河の守備の生命線であった中盤でのボール奪取は失われ、DFラインがズルズルと下がり、前線の2トップは時間の経過とともに孤立していった。19分、MF永露に替えてFW山下真太郎を投入。FW小林を右MFに下げ攻撃的なシフトチェンジを図ったが、その10分後の29分、味方選手との接触でDF金守貴紀が負傷するというアクシデント。DF伊澤篤を投入し、予定外の2枚目のカードを使ってしまう。

3枚目の交代カードで「点を取りに行く、勝ちに行く」という姿勢を見せるのか、それとも残り15分を守り切り勝点1を掴むのか、判断に迷う展開のままジリジリと時間は過ぎていく。何とか耐えながら反撃の機会をうかがっていた後半39分、DF鹿野崇史がペナルティエリア内で相手選手を倒してしまいPKを与えてしまう。PKキッカー、HONDA・FW新田純也のシュートをGK飯塚渉が一度は止めるも、弾かれたボールを再びFW新田が詰め、ついに均衡は破れた。

PKシーンの数分前からピッチサイドで準備をしていたFW橋場貴之が、FW小林と交代したのはPKのキック直前となってしまう。「点を取りにいく」というメッセージを込めた最後の交代カードだったが、ピッチに残っている選手達の中には残り5分でPKを与えてしまった影響か、ガックリと肩を落としている者も見られた。一度はGKが止めたこぼれ球に対する反応も、横河の選手達の“一歩”は遅かった。

今シーズン、選手達からは「ウチのチームは先制すれば（守り）勝てる、という自信は持っている」というセリフがよく聞こえた。逆に、先制されてから逆転勝ちした試合は0である事が何を意味するのか。「決める時に決めていれば、自分達のリズムで試合が運べたはず」というセリフが、常套句のようになってしまった感もある。

若返りを図った今シーズンの横河武蔵野FC。苦しい時間帯やビハインドの状況でも、味方選手が鼓舞し合い、全員で戦う姿勢を示せるか。1プレー1プレーの細部まで、勝つ事に拘るプレーを若いチームに植えつけられる事ができるか。決してJFL残留で満足するクラブではないはずだ。

（了）

（試合後の監督・選手コメントは2ページ目に以降に続く）