#8 9/18 関東2部 後期 第6節 エリースFC東京 vs 海上自衛隊厚木基地マーカス
その後もしばらくはエリースが主導権を握る。25分、右サイドから中央に送られたボールを後藤が後方から走り込んで狙う。しかしこの場面はマーカスのGK斉藤裕児に防がれてしまった。このプレーでGK斉藤が負傷し、試合は一時中断を迎える。数分間の中断を経て間もなく試合は再開する。このときGK斉藤は「俺の判断ミスだ。切り替えてやろう。一からやり直そう。」と声を張った。前文と因果のほどは怪しい気もするが、少なくともこの時間帯を境に試合の流れはマーカスに傾いた。マーカスは中央の低い位置から左右にボールを散らして突破を計った。
流れはマーカスに傾いたように見えた。しかしこの流れもエリースの作戦だったのかもしれない。いつの間にやらエリースは序盤のように積極的にボールを取りに行っておらず、中盤以降は守備の布陣を崩さなかった。「みんながボールをクリアした時には僕を見てくれるよう意識してくれていたので、体を張らなくてはいけないなと思い踏ん張りました。」というFW高橋周大をはじめとした前線の数人のみがボールを追い回していたが、そのプレーも“あわよくば”の機会を狙う程度だった。
エリースは44分、マーカスに右サイドの高い位置からゴール前に放り込まれる。放り込まれたボールは遠いサイドにいたマーカスMF尾崎光に頭で合わせられた。エリースにとって決して多くはなかったピンチの一つが訪れた。しかしGK白子哲平が尾崎に対してきちんと寄せていたことで、放たれたシュートは大した脅威とはならなかった。前半は序盤以降に大きな動きを見せることなく終了を迎える。
攻め続けて奪った追加点
後半に入るとマーカスが押し気味に攻める。エリースは比較的長い時間を自陣で過ごすこととなったが、少ない機会からボールを前線に運び、追加点を狙った。後半7分、エリースは右サイドでフリーキックを得る。MF後藤秀平がゴール真正面で合わせるなど波状攻撃を見せたが、最終的に跳ね返された。 後半16分、エリースはFW高橋周大が相手の不用意なバックパスをペナルティエリア直前でカットすると、ゴール右隅を狙い撃ちした。しかし放たれたボールはポストを叩く。 エリースは後半にもサイドから積極的に仕掛けたが、最後のインパクトで精度を欠いた。
もし会場に未来予知者が居たならば、エリースに早く次の1点を取るよう指示を出すべきだった。1点差で試合が進むということが非常に危険な事となる。
後半23分、MF後藤秀平が中央後方から前線のスペースへボールを転がす。FW高橋周大が抜け出してGKとの一対一の局面を迎えた。高橋はGKを十分に引きつけると今度は落ち着いてゴール内にボールを放り込んだ。エリースはようやく2点目を掴み取った。 「2点で落ち着いちゃいけなとは思ったのですが、その前に外していたのでホッとしました。」と高橋は振り返る。