#32 日本フットボールリーグ 加藤桂三事務局長 インタビュー
-『総合的に判断する』という言葉ありましたが、全国地域リーグ決勝大会の成績以外で選ばれた4クラブの選考ポイントはどこにありましたか?
加藤 プレスリリースでも『5つの評価基準(【(1)経営状況(運営費用)】、【(2)地域のチーム状況】、【(3)チーム運営体制】、【(4)競技場の状況】、【(5)今季の成績】)』というポイントを出していますが、総合力という事を考えた場合、やはり我々が一番重きを置いた部分に関しては、やはりお金(経営力)ということでした。ちなみに全国地域リーグ決勝大会での成績に関しては、『上位3チーム以外』の成績に関しては、まったく今回の評価には含まれていないし、その大会に参加した、出来なかったという点なども含めて考慮する対象にはなっていませんでした。まあやっぱり総合力という点で考えれば、お金という話になってしまいましが、過去(プロフェソール宮崎※2、アルテ高崎)にちゃんと運営出来ていないチームがあったことで、リーグ全体に迷惑がかかってしまったこともあるから、やはりその点は一番の審査基準としました。
たとえば今回入ったマルヤス工業についてはね、こちらが会社に対して「年間5000万かかります!」と言えば、ちゃんと用意してやってくれるんですよね。長いこと東海リーグで戦って来ている実績もあるし、社長さんも含めてこの会社にはサッカーに対して深い理解があるんですよ。あとはね、選考では結果的に漏れてしまいましたが流通経済大学の評価は、限りなく4番目に近かったですね。
まあ、流通経済大学とヴァンラーレ八戸を同じ土俵で評価するのは非常に難しいとは思うのですが、やはり4番目(ヴァンラーレ)と比較すると、どうしても「推し」という部分では弱かったんですよね。正直に言えば、ヴァンラーレと流通経済大学を比較した時にほとんど差はなかったですよ。それに我々事務局的にいえば、流通経済大学は過去6シーズン、しっかりこのリーグを戦ったという実績があるし、運営ノウハウがあるので安心感が高いのは事実でしたね。ただ、運営能力以外の魅力を比較した場合、八戸の方がやや高かったんですね。
まあ、レノファ山口やアスルクラロ沼津に関しては、Jリーグ準加盟ということもあり、財務的にも運営母体もしってりしているので、やはりその点を考えても他のクラブより高い評価となっていましたね。
-J3というリーグが出来る中で、JFLは今後どんなカラーを打ち出し行きたいと考えますか?
加藤 結果的に、今回選ばれた6チームを見ると、JFLで頑張っていろんな目標を果たそうというチームは2つで、あとの4チームはJリーグを目指すチームという形になりましたが、『入会希望届』を出した25チームのうち、ちょっと(将来の方向性が)分からないチームもありますが、マルヤス工業、ファジアーノ岡山NEXT、流通経済大学、JAPANサッカーカレッジの4つだけが「JFLで頑張って行く!」というチームであり、あとの17チームはみんな将来的にJリーグを目指すクラブでした。
やっぱりJリーグというプロリーグの存在がどうして大きいと考えざるを得ない状況の中で、JFLというアマチュアリーグがサッカー界全体の中でどう生きていくかも考え行かなければいけないんですよね。だからこそ、Jリーグに行くクラブばかりではなく、アマチュアリーグの最高峰として頑張ってくれるクラブ、そしてこのリーグで戦うことに目標や意義を持ってくれるアマチームがどんどん入って来て欲しいし、特に今回のファジアーノ岡山NEXTが2位に入って昇格の権利を獲得してくれたのは、JFLというリーグの中で大きなことでしたね。ただ、ファジアーノ岡山NEXTの評価はもしかすると流経大とかその他のクラブよりも評価は下だったかもしれないので、結果的に成績という面でクリアしてくれたので本当に良かったです。
また、JFAがサッカーの仲間を増やすという意向を強く持っており、大仁邦彌・日本サッカー協会会長からも『J3を作ったことにより、JFLから企業チームが撤退(もしくは消滅)して行ってしまうような事があっては困る。ちゃんと企業クラブやアマチュアクラブがやって行けるような道筋を作って欲しいし、今「企業チームの中で高いレベルでやろう!」という意欲を持ったチームも少なくなって来ているので、(今回のように)受け入れられる環境があるのであれば、どんどん対応しいって欲しいし、それらのクラブを育って行って、サッカーの輪をもっと広げて欲しい』という事も言われていたのですが、これがマルヤス工業を選ぶ上で大きな追い風にもなったし、我々もJFLというアマチュア最高峰のリーグには必要なクラブであると感じたことが決め手にもなりました。
ただ、やはり東海リーグで優勝していなかったら、やはり選びにくいかな?ということもありましたが、今年はしっかり結果を出したし、その結果として初めて全国の舞台に立つことも出来たので、しっかり強化して行けばやれると思いますよ。まあ、来シーズンは降格もない(※3)ので、しっかりこの1年で力をつけて欲しいと思います。また、これからもリーグの独自色として、企業チームやアマチュアクラブなど、どんどん入って来て、それらのクラブがJリーグを目指すクラブと切磋琢磨し合って、レベルをどんどん高めていければと考えています。
※2 プロフェソール宮崎は結果的には成績で降格の順位となったが、運営費用がショートしてしまいリーグから脱退勧告を受けていた
※3 非公式ながらも、2014年シーズンにおいてJFLから地域リーグ降格は無いことを明言。合わせて、来季が14チームからいくつかチーム数が増える可能性もありとのこと