#5 東京23FC 西村剛敏代表インタビュー
-そういった意味でも、クラブは社会人としての“人財”育成を重視していると?
西村 トップチームを強くするだけなら、お金を掛けて優秀な選手を外から獲得してくればいい。そういった(上を目指す)社会人チームもありますが、ウチは違うんだと。セカンドの存在は、その意味でも重要なんです。
-去年は12月の地域決勝に出場し、都リーグ1部から一気にJFL昇格の可能性がありました。運営費の心配はありましたか?
西村 JFL昇格に関しては、ヒアリングのためにJFAハウスに何度も呼ばれました。「JFLに参入した場合、運営費は大丈夫か?」など色々な話をしました。JFL参入には約1000万円くらいですが、その他の運営費を合わせると4000万円くらい必要でしたね。それでもJFLに上がるつもりでトップチームはやっていました。
-今季から関東リーグに昇格しました。遠征費用など今まで以上に必要となりますね?
西村 “お金が集まってから上がる”のではなく、お金は後付けでもいいんですよ。元々あるわけじゃないし(これだけ必要なんだよ、と)切羽詰まらないと集まらないです。クラブの収入については、スポンサー企業さんだけに頼るのではなく、東京23FCを中心としたビジネスを展開していきたいです。ウチが中心となってスポンサーさん同士で新しいビジネスが生まれたり、横の繋がりを強くしたいですね。中小企業のネットワークを作っていきたいと思っています。
-そんな状況の中で、今季はトップチームに米山篤志監督を招聘した理由は?
西村 平野淳マネジメントリーダーと話して、何人か監督の候補を出しました。米山さんとは実際に会って、色々なお話をした上でお願いをしました。現在のトップチームを率いる上で、既に完成された(経験豊富な)監督やカリスマ監督はいらないし、ウチには合わないと思っています。クラブと一緒に成長していける監督を望んでいました。そういう意味では、アマラオ監督も同じだったのですが、コミュニケーション、言葉の問題で(監督と選手ともに)お互いに歯痒かったと思います。だから次は日本人の指導者で、ということになった。(米山監督とは1年契約なんでしょうか?)こればかりは結果次第だから分からないですけど、将来的な意味でも長期的にやって貰いたいと思っています。
-まだ東京23FCは誤解されているというか、クラブのビジョンがあまり知られていないと思いますが。
西村 『我々は東京23区のクラブだ』という事が、お高く留まっていると言われるかもしれないけど、望むところですよ(笑) 23区がホームというのは絶対にブレません。そこは23区だと言い切れないといけないし、選手も自信を持って言えないといけない。(東京都の)他の市の方達が応援して下さるのは有難い事ですし、是非お願いしたいと思っています。ですが、他の市へ移転するという事は絶対に無いですよ。
-東京23区という大きな枠組みでやっていけますか?
西村 ホームタウンは早く決めないといけないですが、東京はグラウンド、スタジアム確保が難しい問題ですね。私達も色々と動いていますが、なかなか決まらない。でも、そんなに心配はしていないんです。スタジアムは小さくていいし、西が丘サッカー場より少し大きいくらいの器で充分だと思っていて、その規模のスタジアムが満員になればいいんだと。3万~4万人の入場料収入を期待せずに、あくまでスポンサーさん(中小企業のネットワーク)と共にクラブ運営をやっていきたい。