#3 スフィーダ世田谷FC 川邊健一監督インタビュー Vol.1
-Jリーグで地域密着という言葉が使われますが、アマチュアクラブが地域活動を何年も続けている事は素晴らしいですね
川邊 ありがとうございます。地域活動を続けると言っても、これがなかなか大変でして、労力も掛かるし時間も取られます。「サッカークラブがそこまでやる事はどうなのか?」という考えもあるのでしょうが、サッカーだけやっていればいいという事ではないですからね。人格的に優れたサッカー選手でないとやっぱり上には行けない、というのが長年やってきて一番痛感しているところです。
極端な話かもしれませんが、地域活動を手抜きする選手は、自分が「ちょっと嫌だな」と思うから手抜きするわけで、そういう選手はサッカーの練習であっても、自分で嫌だなと思う練習はやっぱり手を抜くわけです。それで良い選手に成れるはずがないんですね。
だから人間教育と共に、選手のそういった部分を見極めたりします。また、私達がそういう事を教えてあげることによって、例えその子自身が選手として大成しなかったとしても、その子が後世に伝えていくかもしれないですから。こういった取り組みはクラブとして大事な事だと思っています。
「地域の為に一つひとつ着実に連携する事が、選手達の為にもなっている」
-地域の方達からの見方が変わったとか、応援してくれる人が増えたとか、何か感じる事はありましたか?
川邊 実際、何年も商店街の清掃活動を続けていますが、難しいところもありまして。清掃活動って人がいない時間にやるんですよ(笑) 日曜日の朝とか、人通りが少ない時間にやらないと掃除も出来ないですし(通行人の)邪魔になるし。要は店舗も閉まっている時間ですから、ウチが清掃活動を何年もやっている事を商店街の人達ですら殆ど知らない。朝早くから営業している店じゃないと、我々の姿も見てもいないし、その存在すら知らない。でも続けていく事によって、商店街の理事の皆さんには私達の存在を認知して頂いています。
朝早くから営業している店舗さん、具体的に言うと駅前のドーナツ屋さんは、ドーナツの仕込みがあるので朝6時からやっているんですね。そうすると私達の活動も目にして頂けて、「なんだろう?いつも掃除している子達は?」ってなるんです。それで、向こうから声を掛けて下さって「協力出来る事があれば、何でもするから言ってくれ!」とか、「選手を雇用するよ!」と言って頂く事もあります。本当にありがたい事です。
-地域活動を積極的に取り組んでいても、地域の人達に認知して貰う、更に応援して貰えるクラブを作っていく事は簡単ではないですね
川邊 すごく難しいですね。でもウチはラッキーなんですよ。ウルトラマンという誰でもが知ってるコンテンツを使わせて頂けているのですから。それだけで目を惹くじゃないですか、「え、ウルトラマン?」って。まず、そこからなんですよ。私達も(スフィーダの)認知度アップの為に(ウルトラマンを)付けたかったですし。
これが“地域との繋がり”とは言え、スフィーダのユニフォームの胸に「祖師谷商店街」と入っていても、誰も何も思わなかったはずなんですよ。スフィーダに興味を持って頂ける、というのも「ウルトラマン商店街だから」というのはありますね。だからラッキーなんです。だからこそ私達から飛び込んでいって、地元の商店街に応援して貰おうとアプローチしたんです。
-世田谷区の人口も最近の発表では88万人と、どんどん増えていますよね
川邊 地方の政令指定都市で、世田谷区より人口が少ない都市もありますからね。この地元の商店街だけでも沢山の人が住んでいますしね。まずは私達が、地域の方達に出来る事を一つひとつ着実に塗りつぶして、選手達の環境を整えてあげる事ですかね。それが結局、クラブの認知度アップに繋がると思うので。スフィーダの選手達の為に、我々も地域との連携、色々な取り組みを頑張っている、という感じです。
(了)
~Vol.2に続く~