TOP>>コラム>>column ほっつき歩記>> 第24回 東京23を知りたい
kaieda

第24回 東京23を知りたい

大舞台を目指して

8月8日、横浜のしんよこフットボールパーク。日産スタジアムの隣に併設される人工芝グラウンドだ。東京23の練習は週に3回。ここ、しんよこFPを使用することが多い。練習が始まるまで周辺をぶらぶらしていたら、防球ネットに止まる蝉を発見。間近に顔を寄せても、飛び立たない。死んでいる。ピッチにかぶりつくようにしながら死んでいた。サッカーが好きな蝉だったんだ。あっぱれな大往生だ。

この日のトレーニングは、午後8時45分に開始された。狭いスペースでのパス回しから始まり、タッチ数の制限を変更しながら徐々にエリアを広げていく。といっても、借りているのは半面だけだ。実行できるメニューには自ずと限界がある。米山監督は時計をチラチラ見ながら、選手に指示を送っていた。グラウンドが使えるのは10時までだ。

残り30分を切り、メインの練習に入った。10人の攻撃側は陣形をコンパクトに保ちつつ、ピッチの横幅を最大限に使ってパスを回し、タイミングを見計らって縦にボールを入れる。一方、8人の守備側は、ボールを奪ってからカウンターの目標が与えられていた。米山監督は選手のポジショニングを修正しつつ、「ボールを動かしながら、前への意識を失うな。いつでもスルーパスを出せるイメージで」と指示。身ぶり手ぶりを交え、時に激しい口調で指導していた。最後にシュート練習を行い、10時きっかりに終了。ピッチの外では大学のサークルらしき集団が、早く交代しろよという空気をムンムン出しながらスタンバイしていた。

チームが解散したあと、近くのベンチに座り、米山監督の話をうかがった。
「志向するのは、ポゼッション、カウンターの両方を状況に応じて使い分けられるチーム。ボールを持ってゲームを支配したいのは山々ですけど、そう簡単にはやらせてもらえないのでね」

それにしても、通常は夜の9時に練習開始とは。11時に練習が終わり、ぼやぼやしていると終電を逃してしまう。
「選手たちは仕事を終えてから、その足で練習に来ます。食事は摂れていないはずです。消化が間に合わないし、移動時間も必要なので。体内時計が夜に合っていて、早い時間は身体が動かないし、集中力も欠ける。夕方以降のゲームのほうが、圧倒的にいいサッカーをします。この前の町田との試合は、6時キックオフでしたから助かりましたよ。あれは会心のゲームでした」

アマチュアのチームをマネジメントするむつかしさはどのあたりにありますか?
「うちの選手は、平均すると25か26歳あたり。最年長は31歳かな。元Jリーガーは、三沢慶一(前橋育英高→ヴィッセル神戸→ザスパ草津)だけです。目標設定がそれぞれ違うんですよ。もっと高いレベルに行きたい選手がいれば、ほどほどでいいかという選手もいる。こういった集団をひとつにまとめるのは苦労が多くてね。並大抵のマネジメント力では追いつかないと感じています」

◆前後のページ | 1 2 | 3