#3 2012シーズン序盤を振り返る~東京ヴェルディ編
東京のフットボールに関する様々なイシューをコラムで綴る「FOOT ISSUE」
第3回は「2012シーズンの序盤を振り返る」~J2・東京ヴェルディ編~です。(#4 町田ゼルビア編はコチラ)
川勝ヴェルディ初の開幕戦勝利
5/6(日)の第13節・水戸ホーリーホック戦を終えた時点で、東京ヴェルディは8勝1分4敗でJ2リーグ・3位につけている。川勝良一監督体制になって今年が3シーズン目だが、上々の開幕スタートを切った。過去2シーズンは、どちらも開幕3連敗を喫するなど、スタートから躓いている。2010年は6試合目、2011年は5試合目でようやく勝点3を手にしており、初勝利までに時間を要してしまった。
翻って今シーズンは、ひと味違う。“Jリーグ1年生”の松本山雅FCとの開幕戦に勝利し、川勝体制となって初の開幕戦白星を手にした。第2節のヴァンフォーレ甲府戦こそ落としたものの、その後は3連勝を含む5戦負けなしと好調が続いた。過去2シーズンは、共に5位でフィニッシュしている。シーズン終盤の追い上げも、J1昇格ラインまでは届かなかった。昇格する為には、やはりスタートダッシュは肝心。その意味で、今シーズンの滑り出しは悪くないと言える。
守備の安定で掴んだ好スタート
今シーズンの違いは、ディフェンス面にある。川勝体制3シーズンの、開幕13戦を終えた時点での成績を比べてみる。今シーズンは、得点こそ2010年より2点少ない21ゴールだが、失点数は最少の11。失点の減少が勝ち星の増加に繋がっている。
そして接戦をモノにできる勝負強さも備わっている。その要因にDF深津康太は“チームの一体感”を挙げる。
「みんながひとつになっている。去年までなら負けていたような試合でも、勝ちに持っていける。」
深津の言葉を物語る試合が、第7節・徳島ヴォルティス戦だ。DF土屋征夫が前半16分で負傷交代するというアクシデント。ディフェンスの要を失ったヴェルディだったが、最終ラインは崩れなかった。深津は振り返る。
「バウル(土屋)さんがいなくなったのは大きかった。でも、森(勇介)さんや(高橋)祥平達と声を掛け合って乗り切れた。ひとつになれていると感じた。」
GK柴崎貴広も「去年までならやられているような場面でも守れている。」と言い、更にこう付け加えた。
「やっている事は、川勝監督になってから変わっていない。継続してきたものが出ていると思う。」
ヴェルディの特徴は、間違いなく攻撃力である。練習で行う紅白戦では、スタメン組11人に対し、サブ組は8人や9人だ。ヴェルディは、どこが相手でも自分達のペースで試合ができる。常にボールを支配した状態を想定している。逆に言えば、ボールを奪われた時のリスクが大きいのが、ヴェルディのサッカーとも言える。