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#3 2012シーズン序盤を振り返る~東京ヴェルディ編

それでも失点が減少し、粘り強く勝ちを拾えているのは、攻守の切り替えの早さによるものだ。FWの選手は前線からのチェックを怠らず、相手のパスコースを限定する。そして、自陣では守備陣が体を張って防ぐ。攻撃から守備への切り替えがスムーズとなっている。

攻撃力を維持したまま、守備の安定が保たれているのは、GKを含めた最終ラインの踏ん張りが大きい。今シーズン、ボランチの一角として、守備の安定に多大な貢献をしているMF和田拓也。川勝監督も賛辞を惜しまない。チームの“攻守の繋ぎ役”はこう語る。

「DFラインの皆が頑張ってくれている。前に跳ね返してくれるから、僕は問題なくセカンドボールを拾う事ができる。」

『問題なく』という表現こそが、彼の能力の高さを証明しているわけだが、ディフェンスラインがしっかり跳ね返しているからこそ、和田の働きがより輝いているのも事実だ。

控え選手に奮起を求めた監督

開幕スタートが好調だったとはいえ、チームとして全てが万全だった訳ではない。シーズン開幕当初、川勝監督はスタメンで送り出せる選手に関して、レギュラー陣以外には少ないと話していた。

「2番手グループがなかなか出てこない。まだ大人しい人が多いから、強い意欲を持って奮起してほしい。」

しかし、シーズン序盤にセンターバックの控えだった深津はチャンスを掴み、今やレギュラーとなっている。川勝監督が一刻も早い復帰を望んでいたDF中谷勇介も復帰した。また第13節・水戸ホーリーホック戦では、出場停止の深津に代わってDF吉弘充志が90分間プレーし、完封勝利に貢献している。今のところ、センターバックは土屋・深津のコンビが堅いだろう。しかし、この2人の牙城を吉弘が崩す事ができれば、ディフェンスの層は更に厚くなる。

昨シーズン、リーグ最多ゴールを記録しながら最終順位は5位。守備が計算できるようになった今シーズンこそ、J1昇格のチャンスと言えよう。2012シーズンのJ2は、大型連休の4連戦を終え、約3分の1の13試合を消化した。J1の舞台を思い描くには時期尚早だが、それを期待させるだけの成績を、シーズン序盤のヴェルディは収めている。

明日のファジアーノ岡山戦から始まるシーズン中盤の戦いにも注目したい。

(了)

(取材・文 青木務)

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