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TOKYO DECADE(前編)~これまでの10年、これからの10年~

では、東京のサッカーシーンの今はどうなっているのか。そして、これからの10年はどうなるのか。未来の東京のサッカーシーンに想いを馳せながらも、まずは東京の”ちょっとした歴史”を少し振り返ってみたい。

2001年3月10日。その日が杮落としとなった東京スタジアム(現・味の素スタジアム)に集まった観衆は4万4030人。対戦カードはFC東京vs東京ヴェルディ1969(現・東京ヴェルディ)。

翌年にはFIFAワールドカップ2002 KOREA/JAPANの日韓共同開催を控えていた。日本各地で、2001シーズンのJリーグ開幕戦に詰め掛ける人々の熱気も当然高まっていた。ましてや首都・東京に5万人を収容するスタジアムが完成し、そのお披露目の試合である。以前からの熱心なサポーターだけでなく、新しいサッカーファンを呼び込び、スタジアムは大観衆で埋め尽くされた。(この試合が現在も東京ダービー最多動員記録である)

今でこそ”東京ダービー”という呼び名も浸透してきたとは思うが、当時は東京のJクラブ2チームの対戦というよりも、J参入を果たした”東京初”の新興Jクラブと、”東京”のクラブとして再生と復活をかけた名門クラブの対戦、という対立軸があった。

前シーズンに対戦していたとは言え、ダービーマッチと呼ぶほどの歴史も因縁も無い。まさに初顔合わせ。東京の冠がついたスタジアムで、2つの東京のJクラブが新しいスタートを切り「これから新しい東京のサッカーの歴史を作っていくのだな」という期待感に包まれていた、そんな2001シーズンの幕開けであった。

それから数年後には、ナビスコカップ(FC東京)や天皇杯(東京ヴェルディ)のカップ戦タイトルを獲得する。ダービーマッチらしい激闘が何試合もあった。Jクラブとしてアカデミーを充実させ、各世代の日本代表選手も輩出し、クラブとして更に大きな成功を目指していく。2つの東京のクラブが、日本のプロクラブとして、”首都にあるビッグクラブ”として成長し、進化を遂げる…はずだった。

2005シーズンには東京ヴェルディがJ2降格。2008シーズンは再びJ1に復帰するが、最終節に敗れて、2度目のJ2降格。2010年にはJリーグ退会か、クラブ消滅か、と騒がれるほどの危機が訪れた。現在はクラブ健全経営に取り組みながら、育成組織から優秀な選手を輩出する事で、トップチームの成功を目指している。

FC東京は2009シーズンに2度目のナビスコカップ優勝を遂げる。リーグ戦でもACL出場権を狙える実力をつけてきた。動員記録に関しても上位3クラブに入るほど、10年間で進化し続けてきた。が、2010シーズンにJ2降格。今シーズンは1年でのJ1復帰を目指し、クラブとして新しい挑戦が始まっている。

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