TOKYO DECADE(前編)~これまでの10年、これからの10年~
東京偉蹴FOOTBALL 創刊コラム特別号(前編)
「十年ひと昔」という言葉があるように、10年間という年月は”ちょっとした歴史”を振り返るに相応しい時間軸である。明日や来週の予定を考えたり、昨日や先週の出来事を振り返る事は、ごく当たり前の事だと思うが、普段から10年後の人生設計を考えたり、10年前の自分を思い返して「思った通りの人生を送っているな」など、普段から10年スパンでモノを考える人は少ない。気づいたら10年なんてあっという間だった、と思う人が多いはずだ。
日本の、東京のサッカーシーンを10年スパンで振り返ってみても、まさに光陰矢の如しといった感がある。まさかこんな事になっているとは、と誰も想像していなかった出来事が起きている。例えばJ1の東京の2チームが、ともに2部に降格しているなんて、10年前に想像していた人がいただろうか?
一方で、JリーグおよびJリーグ準加盟クラブを含めて、全国に40を超えるプロクラブが誕生し、さらにJFLや地域リーグや都道府県リーグの中にも、将来Jリーグを目指しているクラブが増えてきた。北信越リーグを描いた映画が劇場公開され、評判となった事も記憶に新しい。Jリーグ全体の観客動員数低下やクラブ経営難が囁かれている中でも、日本全国でプロ、アマチュア問わず”サッカークラブのある街”が話題となる事も多い。
サッカー日本代表は4大会連続でワールドカップに出場している。多くの日本人選手が外国のリーグでプレーし活躍している。あまり光の当たらない世界ではあるが、アマチュアサッカーや育成の世界で活動している人達の支えがあり、U-17や女子ワールドカップといった分野でも成果が現れている。”たった10年間”だけでも、日本のサッカーシーンには確実に変化が生じている。