『いしかわごうのウルトラなる挑戦記』 第3回 田中麻里菜 出撃せよ
第3回 田中麻里菜 出撃せよ
タイトルはウルトラマンの第3話「科学隊 出撃せよ」から。
この回に登場する怪獣はネロンガ。普段は透明だが、大好物の電気を吸うときに姿を現す怪獣である。ウルトラマンは発電所を守るために、ネロンガの電気光線を真正面から受け止めて戦うのだが、結果的にはネロンガの突進で発電所が壊れてしまうっていうツッコミどころのある回である。なんだ、そりゃ。
先発復帰を果たしたキャプテン・田中麻里菜
そんなことはさておき、田中麻里菜である。
大蔵総合運動場で行われたプレナス チャレンジリーグ第11節のJFAアカデミー福島戦。右膝半月板損傷で長期離脱していた彼女が、この第3クール初戦で待望の先発復帰を果たしたのだ。前節の後半に途中出場はしているものの、先発復帰となると開幕戦以来となる。まさに田中麻里菜の”出撃”だった。
左腕にキャプテンマークを巻き、選手入場で選手の先頭を歩いていく。そして主審とのコイントスを行い、キックオフ前には円陣を組んで気合いを入れる。サッカーの試合前におけるいつもの光景でしかないが、そこに田中麻里菜の姿があると、やはりスフィーダというチームが締まる気がするのだ。
そして試合も快勝!やっぱり麻里菜がいると違うよね、めでたし、めでたし・・・と、このコラムを終えることができたら良かったのだが、そうは問屋が卸さなかった。フタを開けてみると、前半だけでまさかの3失点。結局、1-4という完敗を喫してしまった。ホーム・大蔵での予期せぬ大敗には、さすがに川邊監督も肩を落としているようだった。
敗因を挙げるならば、やはり前半の3失点に尽きるだろう。立ち上がりから主導権を握られ、リズムが掴めぬまま12分に失点。その負の流れを止められず、最終ラインが我慢できずに25分、28分と失点を重ねた。さらに言えば、両者の持ち味である繋ぐサッカーが機能しない悪条件のピッチに、先に順応したのがアウェイの福島のほうだったことも誤算だったと言えるかもしれない。その意味で、内容的にも妥当な敗戦ではあった。
自ら追撃のゴールをあげるも勝利ならず
ここまで全てがうまくいかない試合も珍しいが、長いリーグ戦ではこういう日もあるだろう。あまり引きずらず、次に向けて気持ちをしっかり切り替えてしまったほうが得策だ。個人的にはそう感じた敗戦だったと思っている。
そして田中麻里菜である。
90分フル出場を果たしたものの、先発復帰戦を勝利で飾ることはできなかった。試合後、口から出てきたのはやはり前半のパフォーマンスに関する反省点だった。
「スタートから試合の流れが相手に行ってしまい、そのなかで失点してしまいました。失点後も、ピッチにいる選手は前向きにプレーしていたのですが、流れを自分たちに持って来れなかったです。自分たちの体勢を整えることができず、前半で試合が決まってしまいました」
彼女のスタートポジションは[4-4-2]の右サイドハーフ。ただ前半から左サイドハーフの長澤優芽とのポジションチェンジを頻繁に行い、状況に応じてセンターフォワードとして起点を作ろうとするなど、気を利かせたプレーを心がけていたのは感じられた。だが前半からチーム全体が間延びしたことでボールキープにも苦戦。厚みのある攻撃を生み出すまでには至らなかった。