連載コラム開始 『いしかわごうのウルトラなる挑戦記』 第1回 スフィーダ作戦第一号
第1回 スフィーダ作戦第一号
ボールを触っている3分間に全てを賭ける
サッカーの試合で一人の選手がボールを触っている時間というのは、合計すると3分ほどだという。言い換えると、90分のうちの87分はボールを触っていない時間であり、ボールの無いところでの動きに費やされているということになる。その上で、この “ ボールに触っている3分 ” で決定的な仕事をするのが、優れたサッカー選手というわけだ。
『 3分にすべてをかける 』
こう書くと、なんだかウルトラマンみたいである。
よく知られているように、ウルトラマンが地球上で活動できる時間は3分である。2分30秒を過ぎた頃から胸のカラータイマーがピコンピコンと点滅し始め、3分以内には必殺技のスペシウム光線を浴びせて怪獣を倒し、シュワッチと空高く飛び去っていく。“ 3分にすべてをかける ”という意味では、サッカー選手もウルトラマンと同じなのだ。そこで、「サッカー選手=ウルトラマン理論」をこの場を借りて発表していきたい。
・・・・冗談です。
しかし、実はウルトラマンの精神を大事にするサッカークラブというのが日本には存在している。
それも、東京に。
2013年のある日のことだ。
「世田谷にこんな女子サッカーチームがあるんだよ」
サッカー好きの知人から、そう言われて見せてもらった、とある資料。その表紙には、スペシウル光線よろしく、腕を十字に組んだポーズを決めている女子サッカー選手達がウルトラマンと一緒に写っていたのである。
「なぜ女子サッカーチームがウルトラマンと組んでいるのだろう?」
聞くと、このサッカークラブの名前はスフィーダ世田谷FC。現在、プレナス チャレンジリーグ(なでしこリーグ2部)の舞台で戦っている、れっきとした女子サッカークラブだった。スフィーダとは「挑戦」の意味を持つイタリア語だという。
トップチームを筆頭に、ユース(高校生年代)、ジュニアユース(中学生年代)、U-12フットサルスクール(小学生年代)、さらにママさんチームも含めたアカデミーを持っており、約150名の選手が所属。この数字は、日本国内最大規模の女子クラブとのことだった。東京にある女子サッカーチームと言えば、日テレ・ベレーザしか知らなかった自分にとって、そういうチームが存在していたこと自体、ちょっとした驚きだった。