TOP>>コラム>>OTHER COLUMN>> 連載コラム開始 『いしかわごうのウルトラなる挑戦記』 第1回 スフィーダ作戦第一号

連載コラム開始 『いしかわごうのウルトラなる挑戦記』 第1回 スフィーダ作戦第一号

リーグ開幕戦に1682人

試合会場は駒沢オリンピック公園陸上競技場だった。
会場内には家族連れが多く、会場の設営やグッズ販売は下部組織の子たちが手伝っている。こういった手作り感も含めて、なでしこリーグらしい牧歌的ともいえる雰囲気が漂っている。これはこれで、Jリーグとは違う心地良さがある空間だ。

試合開始直前。選手が整列し始めると、サポーターがチャントを歌い始めていた。それはウルトラマンのあのテーマを思いっきりベースにしたメロディだった。

「胸につけてる マークに誓い ♪ 自慢のファイトで敵を討つ ♪ 世田谷区から勝利の為に ♪ き~たぞ 我等の スフィ-ダ- ♪ 」

開幕戦の相手はセレッソ大阪 堺レディース。とにかく皆、体格が小さいと思ったら、今年チャレンジリーグに昇格したばかりで、中学生が主体となっているU-15のチームなのだという。

開幕戦という緊張からかスフィーダは相手に先制を許したものの、終わってみれば8対2で圧勝。1ヶ月以上前のゲームなので詳細は省くが、注目していたキャプテン・FW田中麻里菜が同点弾を決め、スフィーダの選手達はヒールパスや足裏を織り交ぜたフットサルのようなトリッキーな攻撃で観客を楽しませてくれた。

試合後、地元ケーブルTVの応援番組のインタビューを受けている選手達は、最後にスペシウム光線の決めポーズをしていた。トコトンまでウルトラマンなのである。思わずニヤリとしてしまった。

そして驚いたのが、この試合の観客数である。
1682人。これは、この日に行われたなでしこリーグ全体の観客数でも、INAC神戸レオネッサ、岡山湯郷Belle、ベガルタ仙台レディースに次ぐ数字だった。1部リーグのなでしこリーグは有料試合であり、2部リーグのチャレンジリーグは無料試合である為、もちろん安直な比較は出来ない。ただスフィーダ世田谷FCには、なでしこジャパンに名を連ねているような有名な選手がいない。それでいて1500人を越える集客をしたのだから、大したものである。クラブスタッフに聞くと、もっともっとサポーターを増やしていく為に、今年は本格的にプロモーションを仕掛けていくそうだ。

さて。
ちょっとした縁があって、今年からスフィーダ世田谷FCを定期的に取材させてもらうことになった。自分はJリーグの現場取材のキャリアは今年で8シーズン目になるが、女子サッカークラブをこういう形で取材していくのは初めてであり、正直、まだまだ戸惑いもある。

ただ、これは自分にとって”挑戦”でもある。今年、1部リーグ昇格を目指している彼女達の挑戦を見守っていきながら、そこでの自分なりの挑戦記をここで綴っていければと思っている。

(了)

(著者プロフィール)
いしかわ ごう
北海道根室市出身。スカパー!の番組スタッフを経て、サッカーライターに。2013年2月に6シーズンつとめたサッカー専門新聞紙エル・ゴラッソの記者を卒業。現在はサッカーライティングやTV番組の企画構成を中心に活動中。趣味の将棋はアマ三段(日本将棋連盟三段免状所有)。
ブログは「サッカーのしわざなのだ。」 ツイッターのアカウントは @ishikawago

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