#91 10/20 JFL 第30節 横河武蔵野FC vs 栃木ウーヴァFC
『東京偉蹴的 MATCH OF THE WEEK』 #91
横河武蔵野と栃木ウーヴァ 勝負を分けた意志統一の差
10/20(土)13時 武蔵野市立武蔵野陸上競技場
JFL 第30節 横河武蔵野FC 2-1 栃木ウーヴァFC
にわかに注目度を増している両クラブの対決
現在、リーグ10位の横河武蔵野FCは、優勝の可能性も降格の心配もないが、クラブ自体は注目を集めている。10/10に行われた天皇杯3回戦(AC長野パルセイロ戦)を勝ち抜き、既に4回戦の切符を手にしているからだ。
対する栃木ウーヴァFCも、目が離せない状況となっている。現在(10/19時点)、最下位に沈んでおり、このままの順位でシーズンが終われば関東リーグ1部に自動降格となる。今節のリーグ戦を迎えるに辺り、一部メディアからSAGAWA SHIGA FCがJFL退会のニュースが流れた。もしSAGAWAがリーグ大会となれば、ウーヴァは最下位でも自動降格の憂き目は免れる。
そんな状況で迎えたこの試合。選手達の心理面にどう表れるかが気になる試合でもあった。
前節のFC琉球戦と同じスタメン11人を送り込んだ横河。これまで天皇杯の東京都予選、AC長野パルセイロ戦などを取材してきたが、この日の横河は一味違っていた。ブロックを作って守備から試合に入るのは、これまで通りの手堅い姿だった。だが守備から攻撃に移った時は、速攻だけでなくパスを回しながら攻め手を伺っていた。ポンポンとボールを動かしながら、MF岩田啓佑のパス出しを合図に攻撃をスピードアップさせていく。
1点目はこれまでの横河の強みが出たゴールだった。前半10分、後方からのフィードをFW小林陽介が粘って落とすと、MF小野祐輔がドリブルから中央へ侵入して決めた。そして2点目が流麗だった。42分、バイタルエリアでのパスワークで相手を翻弄し、左サイドへ展開。ライナー性のクロスを小林が合わせてリードを広げた。
だが、横河・依田博樹監督は浮かれた素振りは見せない。「理想はあくまで理想」と、現在好調の要因となっている、守備からしっかり入ってワンチャンスを確実に決めるというサッカーの方に手応えを感じている。それは選手にも浸透しており、チーム全体が意識を共有できているのが今の横河だ。後半に1点返されても、焦りはなかった。「やる事はハッキリしている」という岩田の言葉通り、固い守備をベースに時折鋭い速攻を繰り出した。