#91 10/20 JFL 第30節 横河武蔵野FC vs 栃木ウーヴァFC
ウーヴァに欠けていた“やるべきことをやり切る”一体感
反対にウーヴァは、意志統一の部分が曖昧だった。後半早々の4分にFW竹内優のゴールで1点差に迫ると、その後もFW若林学の高さを活かしてシンプルな攻撃を仕掛けていく。結局追いつくことはできなかったが、ゴールの予感が常に漂う後半の45分間だった。2点のビハインドを背負い、やるべきことが明確になったことでウーヴァは動き出した。ただ、前半からそれができていれば、という悔いも残る。最下位にいるようなチーム力ではないが、皆が同じ方向を向かなければ成果は得られない。
現在、ウーヴァは降格か残留かの正念場にある。だが、井出大介監督は冷静に言う。
「現場は、ひとつでも順位を上げられるように、周りを気にせず少しでも良いサッカーをしないといけない」
まさにその通りで、仮に残留を果たしても、このままでは来年も同じ苦しみを味わうことになりかねない。今からチームの方向性を決め、それを突き詰めていく必要がある。
「チーム全員が同じ方向を向かないと、バラバラではできない」と井出監督は言った。足並みが揃っていないチームに、今の横河を倒すのは難しかった。
ところで横河にとっては、天皇杯で北海道へ行き、リーグ戦で沖縄へと大変な日々を過ごしていた。「今までにないくらい体が重かった」という岩田の言葉は、決して大袈裟ではないだろう。移動と移動の間には、しっかり社業もこなした。社会人の宿命ではあるが、今回はさすがにハードだった。だが、日本の両端での2連戦はいずれも勝利を収めている。怒涛のスケジュールの中で、チームの一体感は更に増した。今、“チーム”という言葉が最もよく当てはまるのは、横河武蔵野FCではないだろうか。
試合後の両チーム監督・選手コメント
栃木ウーヴァFC・井出大介監督
-後半はかなり攻め込んでいたと思いますが?
「前半の立ち上がり、最初の5分はうちのストロングポイントの高さを活かして、若林に当ててセカンドを拾ってシュートを打てたと思います。その後、行けるなと思っている時に、短いパスを繋ぎ始めてしまった。相手の方が運動量が多いので、奪われてカウンターを受ける場面が増えたと思います。その辺りからリズムを失ってしまったのですが、後半の入りはやることを徹底して中途半端なことをしないで、ストロングポイントを出して行こうと。前の方で若林や竹内が起点になって、動きも出てきて少しはリズムが出てきたんじゃないかと思います」
-戦い方の徹底ができていないのが、今の順位に表れてしまっているのでしようか?
「チームは全員の戦い方や考え方が同じ方向を向かないと、バラバラじゃできない。単純かもしれないけど、前に蹴るサッカーでも、全員が同じ考え方じゃなければ、ただ蹴っているだけになってしまう。やっぱりやるなら徹底してやらないといけないと思います」
-SAGAWAの事がハッキリしていない中で、今のチームの雰囲気やモチベーションの部分はいかがですか?
「どうしてもナイーブになる部分はありますし、そういう話も耳にはするんですけど、それはサポーターやフロントの中で話題になれば良いと思います。僕ら現場は、自動降格が逃れて、入れ替え戦で勝って来年残れたとしても、今のままだと同じ繰り返しになる。報道を気にするんじゃなくて、一つでも順位を上げられるように、周りを気にせず、少しでも良いサッカーをして1つになって、勝ち星を増やしていこうと。でないと、来年に繋がっていかないと思います」