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#6 2012シーズン序盤を振り返る~FC東京・後編

東京のフットボールに関する様々なイシューをコラムで綴る「FOOT ISSUE」
第6回は「FC東京の2012シーズン序盤を振り返る」の後編です(#5 FC東京・前編はコチラ

~後編~ 「停滞の時、そしてレベルアップ」

上々のスタートを切ったFC東京が、一つ目の壁にぶち当たったのは、3月30日のJ1リーグ第4節・サンフレッチェ広島戦だった。春先とは思えない冷雨と強風、そして雷鳴がとどろく中、後半11分に広島・MFミキッチのクロスをFW佐藤寿人に合わされて先制点を許す。手堅い守備組織を構築した広島に対して、FC東京は具体的な崩しの形を示すことができず、このままのスコアでタイムアップ。

MF梶山陽平(ケガ)とMF長谷川アーリアジャスール(前節・神戸戦で退場し、出場停止)の2人を欠いた影響からか、ピッチで展開された内容はサポーターの冷えた体を温める事ができなかった。それでもランコ・ポポヴィッチ監督はその強気の姿勢を崩さなかった。

「2人欠いたからといって、私達のスタイルは変わらない。バルサ、レアル・マドリーだって2人抜けたら違うサッカーになると思いますけどね。私たちの選手を責める事はできない。『フットボール』をしようとしていたからね。」

開幕1ヶ月後の思わぬ停滞

しかし、この試合で『FC東京対策』が炙り出されたのも一つの事実だった。今季から広島を率いる森保一監督の表現を借りると、スピーディーなショートパスに対しては「コンパクトブロックで対応して、ブロックの中に入ってきた敵を迎え撃つ」こと、積極的なラインの高さに対しては「最終ラインの裏を狙う、そしてサイドハーフが自陣から持ち出してクロスを上げる」ことを徹底してきた。その結果が、佐藤の決勝ゴールだった。

広島戦での黒星以降、FC東京はリーグ戦でもたつきを見せる。第5節・川崎フロンターレとの『多摩川クラシコ』では終了間際、DF森重真人のヘディングシュートで宿敵を撃破したものの、第6節・鹿島アントラーズ戦から第8節・清水エスパルス戦まで3連敗を喫してしまう。第7節・ベガルタ仙台戦ではショートカウンターの餌食になり、0-4の大敗。受けた衝撃は少なくなかった。

そしてチームの状態が底をついたのが、清水戦での完封負けだった。果敢な球際での競り合いを仕掛けてきた清水だったが、それが仇となり、後半11分に清水のジミー・フランサ、28分にはアレックスが2枚目のイエローを受けて退場処分。FC東京は11対9と圧倒的優位な状況に立った。しかし、その4分後だった。百戦錬磨のFW高原直泰が、エアポケットに入った東京守備陣の虚をつくドリブル突破からクロスを放つ。そこに飛び込んだFW高木俊幸がGK権田修一の守るゴールを破る。

『0-1』 FC東京にとっては考えられない失点を喫し、そのまま試合終了の笛を聞く屈辱を味わった。この日は仙台戦での発言を受け、ポポヴィッチ監督がベンチ入り停止処分を受けていたとはいえ、ピッチ内で修正を図れなかった。選手たちもこう振り返っている。 「(チームとして目指すべき)縦パスが少なかったのは事実。攻撃は人数がいたけどアイデアが出なかった。」(MF梶山陽平)

「1発が1点に絡んでしまう恐ろしさを思い知った。ただその中でも、僕自身もリスクマネジメントに気を使いすぎてしまい、攻撃にいけなかったところもありましたし。」(MF高橋秀人)

端的に言い当てたのは、MF石川直宏だった。 「いろんな工夫をしてみたけど、ボールを失いたくないな…という気持ちが大きくて、ダイナミックな動きが少なくなってきている。(ACLとの過密日程による)体力的な問題よりもずっと、パスで1人飛ばして見たりとか、動きが小さくなってきている方が問題かと思うんです。」

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