#99 11/22 国際女子サッカークラブ選手権 日テレ・ベレーザ vs オリンピック・リヨン

最初の失点がなくても、ベレーザが勝てていたかはわからない。だが、序盤での2失点はプランを狂わせるには十分のダメージだった。「そこが全てだった」と野田監督が言えば、岩清水も「立ち上がりで試合が決まってしまった」と、肩を落とした。

相手のスピードは、わかっていても止めるのが難しいレベルで、とりわけトミスのスピードは破格だった。「人数をかけても全然取れなかった」とは、土光の言葉だ。だからこそ、スピード豊かなサイドアタッカーにボールが渡る前の段階で、チームで連動して潰しておきたかった。

だが、ポジティブな部分もあった。「なかなか練習通りにはいかなかった」（野田監督）ものの、意図する攻撃は何度か形となった。また、強力な相手との対戦によって、リーグ終盤に覗かせた“パス回しのためのパス”が減少した。相手の圧力を受ける前にボールを離し、積極的に2トップを使う意識が見えていた。センターバックだけでなく、他の選手も意識的に楔のパスを出していた。永里はもちろん、田中も前線で奮闘。持ち前のターンの鋭さに加えて、ボールの収まり所にもなっていた。

結果的に大敗となったものの、通用した面もあった。「そこは楽しかった」という野田監督の言葉は、強がりではなく本心からだろう。力の差は見せつけられたが、何もかもぶち壊されるような敗戦ではなかった。

試合後の両チーム監督・選手コメント

パトリス レール監督（オリンピック・リヨン）

「この試合に勝つという、狙っていたことはゲットできました。ベレーザはとても面白いチームだと思いましたが、我々の罠に落ちたという感じです。私達はフォワードのスピードを活かせました。ただ、一言あるとすれば時差は影響しました。決勝戦は良いコメントができるよう、もっと素晴らしい試合をしたいと思います」
－日本のクラブチームについてどのような感想を持ちましたか？
「技術は高いと感じました。ひとつ言えるのは、ディフェンスをもう少し強化できればということです。フォワードは素晴らしかったと思います」
－体の大きさについてはいかがですか？
「小柄ですが動きが良く、ボール回しも素晴らしいと感じました」
－大滝選手のプレーはいかがですか？
「非常に良い選手ですし、ここまで頑張ってやっています。彼女の良さはキープ力があること。ただ、引っ込み思案な性格は直していかないといけないと思います。今も毎日進歩していますが、今後レギュラーになるにはもっと進歩してほしいと思います」

日テレ・ベレーザ・野田朱美監督

「ヨーロッパチャンピオンと戦うにあたって、メンバーやシステム、ストロングポイント、ウィークポイントを確認して準備してきました。ただ相手に慣れるまでに時間がかかるので、前半は1-0、もしくは0-0。0-1も許容範囲のつもりでした。日本では前から行って先制点を狙いますけど、今日はまずゼロでいこうと話していました。ただ、慣れるまでに失点してしまい、そこが全てだったなと思います」
－トミス選手のスピードには、試合前から警戒していたと思いますが？
「リヨンが、センターバックとサイドバックの間を狙ってくることは確認していました。日本人相手の距離感だとやられるから、勇気を持ってもう一歩詰めようと言っていたんですけど、想像以上のスピードでした。また、クロスをファーサイドまで上げてくるのはなでしこリーグにはない部分でしたし、そこでもやられたなと思います」
－攻撃の形を作ることはできていたと思いますが？
「相手のディフェンスと中盤にギャップができることはわかっていました。トップがボールを受けることができて、そこは練習通り上手く利用してくれました。ですが、そこからの崩しはなかなか練習のようにはいかなかったです。ただ、思い描いていたサッカーが通用することもあって、そこは楽しかったです。2-5は大敗ですけど、田中や隅田、土光など若い選手は自信にもなったと思います。終わった後もどこか爽やかな顔をしていたのが印象的でした。これからの良い経験になったと思います」
－今後強い相手と戦う上で、どのような上積みが必要ですか？
「失点している時は、跳ね返してもセカンドボールを拾えていません。INACの澤やうちの阪口など代表クラスは、ここぞという所で拾ってくれる。後半の失点も、そこで負けて運ばれています。トミスをどう止めるかの前の段階で芽を摘むことが重要ですし、うちだけでなく日本がまた世界を制覇する上でも大事なことだと思います」

＜試合後の日テレ・ベレーザ選手コメントは3ページ目に続く＞