#54 6/24 東京都リーグ1部 T.F.S.C. vs 早稲田ユナイテッド
『東京偉蹴的 MATCH OF THE WEEK』 #54
スタイルを存分に発揮した早稲田ユナイテッド 5ゴール快勝
6/24(日)16時 東芝府中事業所グラウンド
東京都社会人サッカーリーグ1部
T.F.S.C. 0-5 早稲田ユナイテッド
「もっとパスを繋ごうよ。勝ちに拘ることも大事だけど、楽しもう」。戦前、早稲田ユナイテッド・今矢直城監督は選手達にそう語りかけた。ここ数試合、自分達の持ち味であるポゼッションサッカーがあまりできていなかったと見た為だ。スタイルを再確認した早稲田は、T.F.S.Cを相手に5-0の大勝を収めた。
原点に立ち戻り、ポゼッションで圧倒
試合開始から、早稲田がペースを掴む。ディフェンスラインからの丁寧なビルドアップでポゼッションを高める。最前線のFW松井亮太にパスを付けて、サイドに展開する。淀みなくパスが回ると前半13分には、松井のCKにDF長井章浩が頭で合わせて先制ゴールを奪った。
早稲田はパスワークという組織化された攻撃的だけでなく、「個」の力も備えている。それが、松井とMF中島健太だ。彼らの単独での仕掛けが、パスワークという早稲田のスタイルをより際立たせている。それは、2人がスタンドプレーに走ることなく、組織の中で自分の特徴を活かせているからだ。特に左サイドを主戦場とする中島に、相手は手を焼いた。ドリブルを警戒して間合いを空ければパスに切り替えられ、間合いを詰めれば鋭いステップで突破されてしまう。
中島とMF岩崎鉄也の両ワイドを活かすため、片方に相手を寄せてサイドを変える繋ぎを実践する。早稲田の2点目は、その形から生まれた。
34分、右サイドでパスを繋ぎ、中央を経由して素早く左サイドへ。受けた中島が仕掛けからクロスを供給すると、相手のオウンゴールを誘った。前半終了間際には、松井が鋭い反転から持ち込み、強烈なシュートを突き刺して3点目をゲット。
ポゼッションというと、遅攻というイメージも持つかもしれない。現在EUROを戦うスペイン代表は、相手を焦らして焦らして隙を突く。少し前の話になるが、南アフリカW杯直前の日本代表は、自陣でのパスが横行。ボールは動くが得点の匂いはしなかった。対して早稲田のそれは、常に前進しながら行われるため、遅いというイメージを受けない。代表チームと比べるにはいささか無理があるが、早稲田のサッカーはスピード感が損なわれていない。